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最新号:2012年2月 9日号
2010年8月26日号
モノの心伝える“裏方職人”
○…電動のねじ締め機を片手に、手際よく椅子の座面と足を解体し、座面のクッションと布を張り替える。この日集まったボランティアの中で男性ただ一人。大工仕事に苦戦するほかのメンバーを助けながら黙々と作業する姿が印象的だ。読み聞かせなどで訪れる図書室に「こんな環境で本を読む気になれないのでは」と、座面の張替えを自ら提案した。読みたい本を受け付けるリクエストボックス作りなど、『縁の下の力持ち』的存在として頼られる。
○…「ボロボロになった本がかわいそうで」。子どもが学校から借りてきた本を修理したことが、ボランティア参加のきっかけ。病弱だった幼少の頃、転校を繰り返した小学校時代、一人の時間は読書で過ごした。「図書室の本を全て読んでやるというのが目標」と学生時代は歴史、小説、哲学、数学、分野を問わず読み漁った。自宅には3千冊ほどの本が棚を占領する。「本は自分の知らないところへ連れて行ってくれる」。読書の魅力を表現する。
○…職業は家具デザイナー。「モノは丁寧に使えばそれなりの、“顔”が現れてくる」それが職人の持論。椅子や箪笥、素材として扱うことの多い天然素材は「素材になるまでの木の年数や生き方を考えて作る」と敬意を込める。生きた年数以上にモノとして生きて欲しい。だからこそ、ぞんざいな扱いは見ていられない。「長く大切に使ってもらいたい」。単純だが、作り手の一番の願いはここにあるという。
○…地域の御神輿づくりや小学校の稲作授業の手伝いにも参加している。田植え前の苗作りや祭りの準備。「裏方作業が好きなので」と笑うが、今あるものが、多くの人の手間や気持ちに支えられていることを子どもたちに伝えたい。それが人に敬意を込めて接することに繋がるからだ。現在、図書室に本のサイズに合わせた棚作りを密かに目論でいる。「本が読みたいと思える環境に」。裏方の思いだ。