「青葉区は熱心な指導者が多く、子どもたちもサッカーを愛している」。鉄町・桐蔭学園高校のサッカー部でコーチ3年を経て、4月から監督に就いた賤機徳彦(しずはたのりひこ)さん(46)=田奈町=は地元の印象を語る。次世代の競技者層を底上げしようと、あざみ野FC総監督の村上源也さん(75)らと一昨年、中学生向けサッカースクール「でんえん蹴球塾」を発足。今は休止中だが、桐蔭学園のサッカー場を使い、週1回の活動を2年間続けてきた。「サッカーを通じて人間力を高め、子どもたちの将来につながっていけば」。育成世代といわれる10代の強化、普及活動に使命感を持って取り組む。
賤機さんは静岡市立観山中学校サッカー部で全国制覇。県立静岡高時代は国体優勝を果たした。県選抜では元日本代表のストライカー、「ゴン」こと中山雅史さんや武田修宏さんが同級生で、ともにプレー。筑波大学では中山さん、井原正巳さんら元代表が同学年に名を連ねた。「ゴンはメンタルが強く、負けず嫌いのムードメーカー。武田は天才肌でゴールの嗅覚に優れていた」と思いを馳せる。
当時の高校生を「個性が強く、突出した武器を持つ選手が目立っていた」とも。「今は技術やスキルは高いが、能力が平均化されている印象。メンタルや体の強さにレベルアップの余地があるはず」。練習場や持ち物、住まいなど環境が整う現代ならではの課題を指摘する。
心磨き、日本一へ
3年前に県勢初の高校総体優勝を収め、現在170人が在籍する桐蔭サッカー部では「心」の鍛錬を浸透させ、日本一の再現を目指す。「3年前の経験に基づき、どういうチームが日本一になれるかを意識させる。強いチームになる前に、いいチームになろうと」。まず心ありきの指導が持論だ。「いいチームとは個々の人間力が高い集団」。信念や生き様、自立心、忍耐力、闘争心、思いやり――高い目標を掲げ、心を磨けば自ずと強くなれる。選手の心に訴えかけていく指導は、東海大第一中(当時)のコーチ、監督時代に全国3連覇を遂げた頃から一貫している。
賤機さんは昨年、日本サッカー協会公認のS級ライセンスを取得。Jリーグ監督に必要な資格だが、「野心はなくて、目標はあくまでも育成年代の強化。指導者も普及させたい」ときっぱり。6月のW杯開幕を前に「勝負は二の次。感動する面白いサッカーを見せてほしい」。日の丸メンバーに熱い眼差しを向けた。
―続く
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ドーハ知る「あざみ野の父」
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