新しい地域交流の場「3丁目カフェ」を開設した 大野 承(しょう)さん 美しが丘在住 67歳
あふれるパワーを形に
○…「朝の散歩が好きでね。ひと休みできる、地域の人が集まれる場がほしかった」。8月のオープンに先駆け、来月からコミュニティスペースがオープンする「3丁目カフェ」。2年前から温めてきたプロジェクトがいよいよ形になる。「まずは10年。不安はあるが、何とかなるんじゃないか」と、期待を胸に走り出す。
○…出身は東京都文京区。「褒められても『うるさいな』と思うようなひねくれ者」の少年だった。心に残るのは高校の頃に出会った2人の女性。「電車の中で、ピシッときれいに足を揃えて座っていてね。美しくて、思わず『どこの会社ですか』って聞いたよ」。「資生堂です」の返事が忘れられず、大学を出て化粧品大手の同社一筋、58歳まで35年勤めた。営業をはじめ「何から何までやった」サラリーマン時代、仕事が終われば飲みに繰り出し、家は「寝に帰る場所」。「まちのことは全然知らなかった」と苦笑する。
○…1970年、23歳の時に美しが丘に越してきた。「まだヨーカ堂も東急もない。たまプラーザ駅も発達していなくて、一面泥の道だった」。雨の日にはみんな長靴を履いて歩き、駅で靴を履き替える姿がまぶたに残る。「電話も申し込みから使えるまで半年かかってね。不便さを改善したい思いはあった」。転勤で全国を飛び回り、20年を経て再び青葉へ。退職後、自治会長を引き受けたのが地域活動の始まりだ。気づけば学童保育や区民会議など地域に関わる多くの団体に携わる。「頼まれると断れない。人が良くて気が弱いから」とお茶目に微笑む。
○…「となり組をつくりたい。小さな情報が載るような地域情報誌も」と膨らむ思いの原点には、かつての隣人の姿がある。「老人会を組織したり、住民の1泊旅行を企画したり。率先して地域をまとめてくれていた。自分も、少しでも恩返しできればいいかな」。あふれるエネルギーを力に、新たな一歩を踏み出した。
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