鷺沼人工腎臓石川クリニック理事で、横浜あざみロータリークラブ会長に就任した 石川 紀久代さん 美しが丘在住 75歳
「人思う心」継ぐ、医院の母
○…クラブ設立25周年の節目で会長に。4回目の東北支援コンサートを来春に控え、今から準備に力が入る。毎年、岩手県山田町の子どもたちの作文を紹介しているが「初めは辛い状況だった。でも徐々に痛みが和らいでいる」と指摘する。3人の新会員を迎え、「娘くらいの若い世代も入ってくれたので、より活性化していきたい」と期待を込める。
○…薬剤師の資格を持ち、夫と人工透析を行う鷺沼の医院を、37年間支えてきた。20人以上のスタッフがいる医院で、薬の管理や人事等を担当する。スタッフには「甘さも辛さも出しながら」と厳しい顔を見せつつ、看護師たちが悩みを抱えるたび相談にのる。「長く働いてくれることや、新たな一歩を踏み出してくれるのが嬉しくて」。本業の傍ら務めるのは、出身地・島根県出雲市の観光大使。おもてなし文化のある、温かい故郷がいつも胸にある。
○…出雲の薬問屋だった実家で、5歳のころ終戦を迎えた。「B29が来ると畑に逃げていた。怖かったからよく覚えてる」。影響を受けたのが、亡き叔父の存在だった。近衛兵軍医の大佐だった叔父はシベリア抑留後、出雲に戻り小児科・内科を開業したという。多くの人が貧しかった時代、叔父自身も決していい暮らしではなかったが、無償で診療し、子どもにはキャラメルをあげていた。「自分より他人のことを考える人。その姿を見て、医療の世界に入った」。患者や家族の悩みに、現在も耳を傾け続ける。
○…命をつなぐ人工透析に、気が休まる日はほとんどない。子育て中は旅行にも行けなかったが、今では院長を担う息子の協力で、夫婦旅行も楽しめるように。遠く離れたロサンゼルスで暮らす娘や孫たちに会いに行くこともある。ロータリーは会員同士の距離が近く、「皆が助けてくれるいいクラブ」。楽しくボランティアができる会にすることがテーマだ。身の回りの平穏を目標に、その先にある平和な世界をそっと願う。
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