がん闘病中の現役フットサル選手として、自身初の自伝を出版した 久光 重貴さん 港北区出身 34歳
「責任」胸に蹴り続け
○…「誰だって生きていれば困難にあう。自分にはそれが、がんだった」。肺腺がん告知から2年。闘病しながら、現役選手としてプレーする。昨年は対がん協会のフットサル大使を務め、講演や小児がん患者の慰問も行ってきた。「支えてもらった分、誰かの支えになれたら」と力を込める。
○…生まれは青葉台。生後すぐ引っ越し、綱島小1年の時、地元のサッカークラブに入団。中学時代はヴェルディ川崎ジュニアユースに所属、名門の帝京高校サッカー部へ。厳しい上下関係と、ボールも触れず走り込みを重ねる毎日に「精神力は本当に鍛えられた」。プロを目指したこともあったがかなわず、趣味でボールを蹴る中でフットサルと出会った。ペスカドーラ町田の前身であるカスカヴェウ時代には、トレーニングで綱島から市ヶ尾までランニングしたことも。湘南ベルマーレフットサルクラブには、08年から在籍する。
○…がん治療はしているが、病人にはなりたくない、と前を向く。病を公表した時よく言われたのが「余命は」という言葉。死ぬつもりはない。余命宣告も拒否し必ずピッチに戻る、という目標を胸に抗がん剤治療に励んだ。「がんはすぐ死ぬ、というイメージがある。そうじゃない、できることがあると伝える責任が、自分にはある」。そのためにも元気な姿をみせたい。復帰を果たしたのはシーズン終盤の14年2月のことだ。自分の目標が多くの人の希望に変わっていくのを肌で感じた。「1年ずつ生きて、フットサルを続けたい」
○…「強い、とよく言われる。でも決して強くはないんですよ」と静かに微笑む。なんで自分が、と思ったことも、泣きわめいたこともある。それでも、信じて支えてくれた、たくさんの人に力をもらった。現在は、月に1度の維持療法を続ける。プレーすることを前提に、体づくりも怠らない。「過去には戻れないが、前には進める。自分にしかできないことを全うしたい」
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