災害時に役立つ防災資機材の取り扱いを学ぶ横浜市認定の「横浜防災ライセンス」。その取得者で構成する「青葉連絡会」(池野正二会長)は2011年3月11日に設立された。その直後に発生した東日本大震災から5年、態勢強化に尽力してきたその歩みを追った。
災害時の即時対応めざす
防災ライセンス取得者の連携を強化する組織として、18区中4番目に設立された青葉連絡会。午前中に行われた設立総会からわずか数時間後の午後2時46分、日本国内観測史上最大規模であるマグニチュード9・0の地震が発生した。池野会長は「自分の身の周りで直接的な大きな被害がなかったが、各地の被害を知るうちに『連絡網を密にしなければ』と気が引き締まった」と振り返る。区内では41カ所の小中学校が地域防災拠点(震災時避難場所)に指定されているが、当時は全体の情報共有が弱いと感じており「各拠点を、自分たちが線になって繋ごう」と心に決めたという。
防災拠点には食料などのほか、移動式炊飯器や仮設トイレなどの生活資機材とエンジンカッターやレスキュージャッキなどの救助資機材が備蓄されている。これら資機材には、扱いに危険を伴うものもあるため、市は講習会を実施し、受講後にライセンスを発行。平時に拠点での訓練などで資機材の使い方を指示することや、災害時には拠点内で応急活動をすることが期待されている。区総務課の防災担当者は「一人でも多く資機材を扱える人を増やしたい」と話す。現在、区に登録されているライセンス取得者は約360人。設立時は80人だった青葉連絡会の会員数も、154人になっている。
今年度の地域防災拠点運営委員会連絡協議会(関根宏一委員長)の総会に池野会長が初めて出席するなど、実際に活動することが想定される防災拠点との連携を徐々に深めている。また、区が会員のうち希望者の名簿を各拠点の運営委員長に配布するなど、各拠点の委員はエリア内の連絡会員を把握し、災害時のスムーズな対応を目指す。「あの日から5年経ち、ようやく線のつながりが増えてきて活動が面になってきた」と池野会長は話す。
見えてきた課題も
人数が増えた中で、課題となっているのが技術の向上と若手育成だ。ライセンス講習は1日で終わるもので、その後に定期的な講習への参加義務などがないため、「資機材に触れる機会がないと、どうしても忘れてしまう」と区担当者。連絡会では、技術向上を目的に、年に2回ほど会員向けの研修会を開催している。今年度は、昨年10月の講習で安全管理を学び、先月26日、27日にはエンジンカッターの使用法などの実技に励んだ。しかし、実技への参加者は約60人。池野会長は「高齢の会員が多い。震災が起きた時に、本当に動ける人を増やさなければ」と課題を語る。
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