中里連合自治会長に新しく就任した 澁谷 要さん 鉄町在住 69歳
経験糧に絆をつなぐ
○…古くは戦国時代から記述が残る「くろがね」の町。その町内会長を3期務め上げ、このほど中里連合自治会長を任された。「気負いはない」としながらも、夏祭りの準備や民生委員の選定など、住みよい街づくりを模索する。「高齢者がいつまでも元気でいられる、若い世帯が安心して働けるような環境を目指したい」先を見据える。
○…代々鉄町に住む。「戦後っ子で同級生も多くて。遊び友達には困らなかったね」と懐かしむ。川でフナを捕まえたり木に登ったり、豊かな自然の中で育った。祖父の代まで農家だったが、会社勤めの父の背中をみて自身は鉄道会社へ。土地開発部で用地取得や開発に携わった。思い出深いのは入社まもなく担当した学園奈良団地の開発・分譲だ。ショッピングセンターの店舗誘致を担い、1件1件の交渉に苦心。「24、5の若造だったから、そりゃ大変だった」。それでも文字通り街が出来上がっていくさまに喜びを感じた。「自分は歯車にすぎないが、今に至る礎になった」と笑顔だ。
○…忘れえぬ経験がある。1958年9月、伊豆半島を中心に横浜市内にも大きな被害をもたらした「狩野川台風」。このときに裏山が崩れ、自宅が土砂にのまれた。当時小学6年生。「この辺はめちゃくちゃにやられた」。気絶しながらも無傷だったため救助を呼びに走ったが、家族3人が重傷を負い、弟とおばを亡くした。近隣住民や地元消防団が助けてくれたことが、強く心に残る。1カ月間は近所の家に世話になり、葬儀には全校児童が来てくれたという。「子ども心に本当にありがたくて。地域の役に立ちたい、という思いはこの頃からある」
○…5団体を束ねる中里連合自治会。古くから住む人、新しく暮らす人をつなぎたい、と願う。「隣り同士も知らない時代だが、災害時に強いのは地域の絆。人と人が出会う場を作っていきたい」。そう言って穏やかに微笑んだ。
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