青葉区民謡民舞会の会長に就任した 吉村 正巳さん 美しが丘在住 71歳
謡(うた)い継ぐ郷土の心
○…区内の民謡、民舞を習う300人以上が所属する青葉区民謡民舞会。その先導役を担う。「偉大な先輩たちが多く、自分はまだまだ器じゃないよ」と柔和な物腰が印象的だ。今月27日に開催される青葉区民謡民舞大会は、会員が一堂に集まり、発表する年に一度の大舞台。役員とともに、舞台作りや当日の段取りなど準備に奔走する。「青葉区の方、特に若い方に民謡、民舞をもっと知ってもらいたい」と意気込む。
○…民謡を始めたのは40年前。姉が興した部品工場を手伝っていた頃、得意先との接待も多かった。お酒の席では”お国の歌”が欠かせない。みんなが故郷に思いを馳せて謡う場で、「自分も持ち歌を2〜3曲持っていれば困らないだろう」と営業心から習い始めた。教室の先生から声の良さを見込まれ、現在の津軽民謡を謡う師匠の元へ。独特の節回し、津軽三味線のテンポに惹きこまれた。民謡は、地域の暮らしや時代を表す。風土や文化、言葉の訛り、歌うほどに、謡い継いできた人々の思いが重なる。「上手く言葉にできないが、心がこみあげてくる」。民謡の魅力をそう語る。
○…生まれも育ちもあざみ野。早淵川を泳ぎ、チャンバラごっこで山を駆け回る幼少期を過ごす。4歳で母を、19歳で父を亡くした。「姉や妹たちを支えるためにガムシャラだった」と、部品工場の仕事に明け暮れた。電車が開通していない時代、職場の溝の口まで自転車で通う日々。「自分がやらなきゃ、その一心だった」と振り返る。実は今も板金工場で働く現役の職人。「じっとしていられなくて」。動き回る方が性に合っている。
○…主宰する民謡教室は、弟子20人、最高齢は90歳を超える。1年を通して教えるのは1、2曲。「どちらが先に曲に飽きるか、弟子と根競べ」と笑う。謡うほど深くなる民謡の魅力を弟子にも伝えたい。「自分もまだまだ。これでいいと言う終わりはない」。曲に込められた思いを探求していく。
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