3月に青葉警察署長に着任した 北川 常弘さん 青葉区在住 56歳
現場の経験を力に
○…着任と同時に青葉区に越してきて2週間ほど。「静かないいまちだな、という印象。住民票も移したので、もう青葉区民なんです」と満足げに微笑む。「現場の声を聞きながら、治安の責任者としてさらに快適なまちを目指したい」と、初の署長職にぎゅっと表情を引き締める。
○…出身は佐賀県小城(おぎ)町。緑豊かな「田舎町」で6人きょうだいの末っ子として育った。高校卒業後、3歳年上の兄の影響で、同じ道へ。「はつらつとしていた。いい仕事なんだなと思った」。神奈川県警に入り、これまで20回以上の異動を経験してきた。平塚や小田原などの県西部も担当。「場所によっていろんな顔がある。神奈川は面白い」としみじみ振り返る。
○…前任は県警本部捜査第一課長。「極力現場に出て、自分の目で観察する」徹底した現場主義で強盗や殺人などの凶悪事件にあたった。世間を騒がせたベビーシッター事件もギリギリまで担当。犯人逮捕は署長着任の前日だった。「幼い子どもが犠牲になる痛ましい事件は忘れられない」と表情をくもらせる。検視官時代には、腐敗して形が変わってしまった遺体と向き合うことも。それでも「しっかり捜査することが、被害者の無念を受け止めること」と、使命感を胸に走り続けた。「警察にしかできないこと。現場での経験の一つひとつが、これからの力になる」。強いまなざしで前を向く。
○…「休みはない。『待機』って呼ぶんですよ」とおちゃめに微笑む。事件に追われる捜査一課長時代、常にスタンバイ、という意識で遠出もままならなかった。「署長も同じ。青葉を離れるわけにはいかない」。多忙な日々で大切にしてきたのは家族との時間。離れて暮らす息子たちとも、正月や盆にはなるべく集まるようにしている。1歳の孫との時間も大きな楽しみだ。「引っ越しの時も来てくれてね。本当にかわいい」と、眼光鋭い警察官の表情から一転、穏やかな笑顔をみせた。
|
<PR>
|
<PR>