各大学教職担当らが出席した締結式
横浜市教育委員会は９月17日、県内、都内の大学など42校と教員の育成に関する協定を締結した。市によると「これだけ多くの学校と協定を結ぶのは全国でも初」という。団塊世代などベテラン教員の大量退職が進む中、大学との連携で優れた人材の確保や教員の質向上に取り組む。
定年退職10年で２倍
近年、横浜市では教員の大量退職や採用が続いている。市教育委員会によると、市立の小中高や特別支援学校の教員（校長含む）の定年退職者は２０１２年度末で３６２人。10年前の１７６人から２倍に増えた。
一方で、教職経験の浅い教員の割合が年々高まっており、14年度は市正規教員約１万４千人中、勤続10年未満の教員が56％を占めている。
不登校などの教育課題が深刻化する中、専門性や実践力が高い教員の育成は市の重要課題の一つで、このほど市教育委員会が公表した、市が進めるべき教育施策などをまとめた「第２期横浜市教育振興基本計画」（素案）の中にも盛り込まれている。
42校と連携・協働進める
東京都や県内全ての自治体が一次試験を全国の会場で実施するなど、教員確保競争が激化している。市はこれらの状況を踏まえ、多様化する教育課題に高い専門性で対応できる教員の人材育成と確保を目的に、41大学に専門学校１校を加えた42校と連携・協働する協定を締結した。該当校には、青葉区と連携する６大学のうち、国学院大学、玉川大学、桐蔭横浜大学、日本体育大学、横浜美術大学が含まれている。
締結式では、具体策の協議の場として「横浜市大学連携・協働協議会」を開設。今後、市側は教育実習生の受け入れ制度の充実や、ボランティア受け入れを促進する。大学側は現職の市教員を対象に公開講座を開催するなどし、市側と大学側双方が補完しながら連携を深めていく方針だ。
市と協定を締結した緑区の横浜創英大学は「学生の教育実習先を市が一本化して対応してくれるほか、資質向上の面でもさまざまなカリキュラムに参加できる点などに魅力を感じた」としている。
市担当者は「専門性を持った大学側の支援を受けることで、教員の育成が見込めるのではないか。大規模な大学との協定締結は全国でも初めてとなるが、今後は学生側に学校現場での体験充実などを推進するとともに、２０１８年度末に50大学以上との締結を目指す」と展望を話している。
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