趣味のカメラで、珍しい白いスズメの撮影に成功した 大橋新(あらた)さん 若草台在住 70歳
故郷の思い出、写真に込め
○…毎朝、早ければ4時台に寺家町へ足を運び、3年前からスズメを撮影し続ける。スズメに着目したのは東日本大震災後。故郷の福島県南相馬市は、津波による塩害で稲作が減少。少年時代から愛着があったスズメを見なくなった。「近所の寺家に何百羽といて自然と目が留まった。撮ってみたら面白くて」。今年9月、希少な白スズメをシャッターでとらえた。「見つけたときはついにやったと思ったよ」
○…写真に明け暮れる日々だが、現役時代はテレビ朝日の報道局に勤務。遠く離れた全国の系列局同士でニュースを共有するネットワーク「ANN」に携わり、事務局長も勤めた。「阪神大震災や雲仙・普賢岳の噴火のときも各局の調整役だった。悲惨な災害や事故は忘れられない」。生きたニュースを届けるため、報道の第一線を歩み続けた。
○…若草台に来て36年目。自然豊かな寺家町に故郷の風景が重なる。「田舎があるって幸せなんだ。結婚式もわざわざ福島でやってね。風景を見るのが心の支えだよ」。上京後も55年間帰郷し続け、あの3月11日が訪れた。「原発から33キロにある実家近くまで入居制限が敷かれ、使っていた国道も閉鎖された」。2年半前から原発抗議集会に参加している。毎週金曜日に通い続け、次で106回目だ。「自然災害は止めようがないけど、原発は悔しいね。少しでも政府に伝えられれば」。安全な国を次世代に残そうと明日も国会議事堂前に立つ。
○…野鳥撮影のほか、「凧も好き」。自宅には全国から集めた300枚以上の凧コレクションが飾られている。職人から凧づくりの話を聞く徹底ぶり。仕事で赴任経験もある沖縄の文献も本棚にずらりと並ぶ。各地にいる知人に「辺野古通信」などテーマ別に写真やコラムをメールマガジンで配信もする。「興味を持ってやればそこから面白さが広がる」。名前にあるように「新」しい興味は尽きない。
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