ゆうちょ銀行の2015年版「マチオモイカレンダー」に作品が選ばれた 栗林 孝之さん 青葉区在住
デザインに思いをのせて
○…落ち葉や小枝など、身近な自然を使って生き物を表現する「枯れ葉アート」を始めたのは6年ほど前。赤い実を目に見立てたトンボや色とりどりの落ち葉を使った鳥など、躍動感あふれる作品はどこか愛らしい。「自然の循環は奇跡。作品を通して環境を考えたい」と、展示会やワークショップに、精力的に飛びまわる。
○…「小学校の卒業文集には『図案家になる』と書いていた。今でいうデザイナーだね」。東京五輪のポスターや、教科書に掲載されていたグラフィックデザインの先駆者たちの作品に魅せられ、デザイン科のある高校に進学。20歳頃には、当時世の中を騒がせていた「コインロッカーベビー」をテーマにした作品で毎日広告デザイン賞に入選した。企業勤めを経て、30年前にデザイン会社(株)フォルマを設立。「生きるために働くなら、好きなことをやりたい」。幼い頃に描いた夢ひとすじ、まっすぐに歩んできた。
○…5人兄弟で、川崎に生まれ育った。「何もないから、外で遊ぶしかなかった」と、缶けりやベーゴマに明け暮れた少年時代、記憶にあるのは豊かな自然だ。「多摩川にはもっと魚がいてね、昆虫も今の倍くらい大きかった」。環境への思いはそんな原風景にある。工業の発展めざましい川崎で、大気汚染が深刻化するなか「魚も虫も、だんだんいなくなった」。中学では美術部の部長を務め、在校生に呼びかけて「公害」をテーマに展示会を開いたことも。「作品で何か社会の役に立てないか」。その思いは、今も胸の中にある。
○…枯れ葉アートは、愛犬「ダイスケ」との毎朝の散歩がきっかけで生まれた。「雨の日も雪の日も欠かさず1時間くらい歩く。発見もあって、きれいな景色だなぁと改めて町に感謝する気持ちになった」と微笑む。作品が300点を超え、全国で作品展を開く今「若い人にも関心を持ってもらいたい」と夢は膨らむ。「どう訴えていくか」。次のテーマに向けて走り出す。
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