創立20周年を迎えた太鼓集団「鼓粋」の代表を務める 加藤 修さん すみよし台在住 61歳
「鼓動」に魅せられて
○…神奈川県を中心に、全国各地を飛び回り、演奏を通して和太鼓の魅力を伝え続けている。縁があれば海外にも出向く。ギリシャのアクロポリスで公演を行ったことも。「歴史が感じられる屋外の史跡で演奏ができて、本当に幸せだった」と感謝を口にする。「どこでも全力を尽くすのがモットー」。一番印象に残っている場面に、老人ホームでのボランティア公演を挙げる。「目の前で涙を流しながら聴いてくれていた。本当に嬉しかった」
○…太鼓を始めたのは28歳の頃。町内会の行事に参加し、打ち上げでたまたま隣にいた人に誘われた。「初めて叩いた、その瞬間に魅了された」。すぐにのめり込み、2年後には、妻と仲間の3人で太鼓集団を結成した。「太鼓の音は、胎内で聞く母親の鼓動に似ていると言われる。人間の根源的な部分に響く」と魅力を語る。その後、息子2人と娘が太鼓に興味を持ったことから、家族で「鼓粋」として独立。現在は家族5人を含む8人がメンバーだ。公演で忙しく、家族で出かけることができない分「移動中が家族の時間になっている」。
○…自営業の傍ら趣味で始めた太鼓だったが、15年前に自治体から指導の依頼を受けたことをきっかけに、太鼓で生計を立てるように。口コミが広がり、全国各地から公演の依頼も舞い込むようになった。毎年100件ほどの舞台に立っている。「始めの頃は公演を終えると満足していた。今はメンバー同士で議論になることも多い。どんな公演でも満足することはない」。オリジナル曲も30曲ほど作ったが、中には毎年アレンジしているものもある。
○…「どう楽しんでもらうかを考えながら、ずっと続けてきた」。観客と心を通わせ、会場が一つになったときの喜びはひとしおだ。体が動く限り続ける意向だが、「お客さんに楽しんでもらえる演奏ができなくなったら辞める」と断言。「楽しませたい」という思いで、今日も太鼓と向き合う。
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