モップのような大筆を抱えるように持ち、全身を使って書き上げるパフォーマンス。書道家として、国内のみならず海外でも活動、福祉施設でもパフォーマンスを行う。2011年4月から被災地を訪れ、ボランティアで揮毫(きごう)を続けている。大きく書かれた文字のまわりに、観覧者が寄せ書きをするのが定番になった。「書いてもらえると、書もどんどん良くなるの」と目を細める。
震災直後、報道される惨状を目にして無力感に襲われた。こんな時に書など何の役にも立たない――続けることへの後ろめたさを感じ、何も手につかない日々が続いた。気持ちが変わったのは、支援チームとして派遣されていた水道関係団体からの依頼がきっかけだ。「皆疲れ切っている。元気づけるような書を書いてほしい」。大きく書いた「届けよう水も心も」という言葉の周りに、思いを吐き出すように続々と職員たちがメッセージを綴った。「字で気持ちを表すことが、こんなに力があるなんて」。自分にできることを、と現地に足を運ぶ決心をした。
仲間に声をかけ、知り合いの協力で最初に訪れたのは宮城県東松島市の牛網避難所だ。「平均年齢70歳以上で女性4人でね。あんたたちよく来たね、って声をかけられた」。揮毫のほか、メンバーそれぞれが得意とする太極拳や絵手紙教室も行った。色のついた紙に水で書く「水書き」体験は子どもたちも交え、夕方から一晩中続いたという。「タンス貯金が流された」「道路1本、紙一重の差で運命が分かれた」。ぽつりぽつりと身の上話を聞いた。「年寄りが来たから、話し易かったのかも」。行方不明者の捜索時期で、自衛隊の姿を多く見かけた。被災した車の1台ずつにマル・バツが書かれていたことも記憶する。
その後も七ヶ浜町や荒浜など宮城県を中心に訪問、支援を続けている。今年は仮設を出て新築ができる、多賀城市の障害者自立支援施設を訪れる予定だ。「1回では足りない。弱い力だけど、積み重ねていきたい」
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