長年ネパールの支援活動に取り組み、現在は地震の復興に向けて寄付活動を行っている 高橋 佳晴さん つつじが丘在住 77歳
ヒマラヤに咲く「高橋桜」
○…日本式農業を伝えるために、初めてネパールを訪れたのが約30年前。以来、桜の木の植樹活動や学用品支援などを続けている。個人的な植物観察の旅も含め、これまで同国を訪問したのは49回。4月25日に発生したネパール地震を受け、交流のある村々を支援しようと募金活動を行っている。「撮影の旅で泊まった村は、周囲の山が崩れて壊滅してしまったらしい」。写真を手につぶやく。
○…植樹活動で訪れた村からは、ヒマラヤ山脈が一望できる。その絶景を見ながら「ここに桜が咲いたらとてもキレイだと思った」。冗談半分で村長に持ちかけたところ、快諾され、翌年には30本の苗木を運び届けた。以来、19年間で届けた苗木は千本以上。現地では「高橋桜」と呼ばれている。気候の違いでうまく育たなかったり、実利につながらないものに価値を見出さない現地住民に「実がならないから」と切られてしまったことも。それでも、今では数百本の桜が毎年花を咲かせている。「桜を見たというドイツ人から『素晴らしい』という手紙が届いたこともある」と顔がほころぶ。
○…小学3年まで新潟県の自然に囲まれた環境で育った。東京で過ごした中学時代に、理科の先生に誘われて植物学者の牧野富太郎さんが主催する「植物の会」に参加。著名な学者に交じって山で植物観察を行った。「色んな植物を知るのが楽しくてどんどんハマっていった」。高校、大学も植物一筋。「いつかはヒマラヤに植物観察に行きたいから」と園芸店を開き、休みを調整して現地に足を運ぶ。
○…桜の交流が始まって20年。今年を最後と決めている。「最初は10年って約束で始めたんだけどね」。桜の世話をしてくれている、現地の子どもたちの喜ぶ姿が嬉しくて続けてきた。今後、衣類や文具の支援は継続していくという。「1回行った人は、誰もが『また行きたい』って言う。本当にきれいなところ」。復興のために、日本の思いを届ける。
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