真打の落語家として10月2日の青葉寄席に出演する 林家 錦平(飯島 喜久雄)さん 美しが丘在住 62歳
常に思いは全力投球
○…「お客さんと芸人の一体感がある、そんな場にできれば」。年に1度恒例となった青葉寄席も今年で5年目。当日は2席を披露する予定で「落語が初めてという人も来てほしい」。
○…元石川生まれの生粋の地元っ子。落語に興味は「全然なかった」と笑うが、友人に誘われて入った大学の落語研究会が転機に。噺を覚え、披露し、拍手をもらう。その快感にどっぷりとはまり、気が付けば寄席に通い、落語を学ぶ日々。親の心配も押し切って大学を中退し、縁あって昭和の爆笑王、先代の林家三平師匠に弟子入り。噺家としての一歩を踏み出し、40年以上が経つが、常に全力投球だった三平師匠の姿勢から多くを学んだと振り返る。
○…林家一門の中では珍しく、古典落語が中心。時の洗礼を受け、なお残っている噺は「昔のことであっても、今でも同じように伝わる。それが面白い」とその魅力を語る。入門して以来、脚色など手を加え、自分のものとして積み重ねてきた噺は200を数えるが、「年をとるほど自分の思いや経験も加味されていく。同じ噺でも20代と50代では話す感覚も変わる」。生き物のように噺を育てていくことも噺家の醍醐味だ。寄席は客の様子や雰囲気を見て噺を決める、言わば「生もの」。高座に上がる時は今でも緊張すると話すが、客席が盛り上がり、一体感を感じられると「金メダルを取ったような、人には伝えられない恍惚感がある。この商売の面白さだよね」。
○…移動中は本を読み、自宅では映画やドラマを観ることが多いが、考えてしまうのはやはり落語のこと。出演者を落語の登場人物に当てはめ、参考にすることも多いのだとか。長い芸歴にあっても「稽古しないと怖い」と話し、「一生修行」との思いを貫く。一方で伝統芸能の担い手として「座布団さえあればどこでもできる」とファン獲得への思いも強い。いつでもどこでも大切にしているのは三平師匠譲りの「全力投球」だ。
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