田奈産の小麦粉で作ったパウンドケーキや米粉のマフィン、田奈産もち米を使用した赤飯。田奈町の直売所・四季菜館の一角で売られているのは、地元の農作物を基本とする加工品だ。製造は、青葉区・緑区の田奈周辺の地元農家の女性たちがおこなっている。
都心に近い青葉区だが、田奈や恩田周辺に広がる一帯は横浜市内でも有数の田園地帯。青葉区は経営耕地面積が30アール未満など、小規模な自給的農家が市内18区で最も多いのが特徴。農林水産省が5年毎に行う2015年の農林業センサスでは区内農家431戸のうち、自給的農家が235戸と半数以上を占める。
「販売の販路に」
同直売所の加工班は、JA田奈(現JA横浜田奈支店)の建て替えで「新たに加工所が出来るので、地場産品の加工に利用しないか」と組合員農家の女性たちに声がかかったことから、地元農家らが参加する「田奈恵みの里」の活動の一環として5年前にスタート。その後JA田奈がJA横浜に統合されたことを受け、現在は同団体と分かれて自立。自らが製造元となり、 加工・販売管理等をおこなっている。
メンバーは全体で20人ほど。菓子グループ、惣菜グループ、味噌グループの3つに分かれて、当番制で加工所に立つ。
「当初は大変だった。初めは売上もないので給料も出せなかったほど。饅頭が作れる、赤飯が作れる、という人たちが集まってわーっとやったのが始まり」。加工班代表で恩田町在住の鈴木うすみさん(65)と、奈良在住の鴨志田登貴子さん(67)、関根マリ子さん(68)ら菓子グループ担当の3人は、当時を振り返る。
それでも「5年間無我夢中。仲間がいるからやってこれた」と鈴木さん。関根さんも「活動のなかで作り方も仲間と学び合え、励みになる」と語る。
田奈周辺の農家の多くは、自宅に加工所を持っていないため、農産物を各家庭で消費するケースが多かったが、今では加工品の材料として売る一つの販路ができたと鈴木さんは考える。「(加工品は)田奈の農家が地元農産物で作っていると、地域の人にあまり知られていないので知ってほしい。新鮮なので、買いに来てもらえたら嬉しい」と笑顔で語った。
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