今春、青葉警察署長に着任した 山本 哲治さん 市ケ尾町在住 54歳
区民守る使命感を持ち
○…青葉警察署には2度目の赴任。地域課長として区内を駆け回っていた18年前と比べ、「今は成熟した街になった。一方で開発も進み、新しい風も吹いている」と印象を話す。初めての署長職として、振り込め詐欺対策に注力する考えを示しながら「31万人の区民に寄り添い、しっかりと守りたい」と意気込む。
○…港北区の実家は警察官の立ち寄り所だったこともあり、幼い頃から警察官は身近な存在。悪を許さず、正義感溢れる姿に憧れ、自然な流れで警察官の道へ。今までの警察官人生を「機動隊で生まれて、刑事で育てられた」と振り返る。機動隊時代は潜水隊として真っ暗な水中で証拠品や行方不明者の捜索にあたり、刑事時代は1カ月間寝る間もなく選挙違反の捜査にあたった。立てこもりや殺人といった凶悪事件の担当も多く、夜中の呼び出しにも「慣れました」と笑う。「自分しかできない仕事にやりがいを感じる。使命感ですね」
○…数年前に肝臓がんを患ったことで、死生観が大きく変わった。着任の際、署員に向けては「臨終の間際に『よくやったな』と思って死にたい」と思いを語り、「今できることをやらないと」と日々に対する意識も高い。そんな中で大切な仕事と位置付けるのが署員の育成。「いざ区民を守る時に、制服を着ていれば後ろには向けない。知力、腕力、行動力といった現場での執行力を鍛えてほしい」と呼びかける。今、考えているのは振り込め詐欺を減らすために親と子どものコミュニケーションを促す仕組み。アイデアを自ら出す姿も見せ、「知力、腕力、行動力」の手本を示す。
○…仕事の内容は家族に伝えられず、家を空けることも日常茶飯事。子ども2人の運動会や授業参観にはほぼ行けず、急な呼び出しに備えて家族旅行なども難しい日々。それでも息子は父の背中を見て、同じ警察の道へと進んだ。はにかみながら、笑顔を見せる良き父の姿がそこにあった。
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