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2010年9月 2日号
ドイツ・ミュンヘンで行われた射撃の世界選手権(7月29日〜8月11日)で2種目を制し、ロンドンオリンピック出場を決めた神奈川県警職員の松田知幸さん(34)(栄区在住)。世界でトップを争う強さのウラには、射撃における独自の哲学と家族の支えがあった。帰国後の8月25日、本紙の取材で語った。
「(五輪の)出場枠は取るつもりだったが、2冠は想像以上」。松田さんは世界選手権男子50mピストルで計669・7点、同10mエアピストルで計689・4点を叩き出し、ともに自身が持つ日本記録を更新した。
松田さんが射撃を始めたのは13年前。以後、元来の負けず嫌いで努力を重ね、06年の国体で優勝してから急成長。国体では昨年で4連覇、また08年の北京五輪で8位、直後のW杯ファイナルで2位、今回の優勝と、世界でもトップレベルに。県警の片野勝己監督(58)は「普段は至って普通だが、射撃の時は人が変わる。集中力がすごい」。
松田さんは週に2、3日、1日に1、2時間、主に横須賀市の射撃場で練習する。質重視のため練習量は他の選手より少ないというが、練習外でも常に射撃のことを考え、勝ちたい気持ちを持ち続けようと意識しているという。「考え続けられた人が、ここ一番の時に集中できる」。そのために、生活のあらゆることを射撃に結びつける。本意でない仕事も射撃のトレーニングと思って行い、掃除もゴミを1つ拾えば射撃で1点上がると思いながら行う。嫌なことであるほど、忍耐力がつくため、効果があるという。
また松田さんがよく口にするのが、家族のありがたさ。妻と小6、小3の息子の存在が力をくれるという。射撃はメンタルな競技のため、妻は松田さんを気遣い、あまり深く聞かずにそっと応援。息子も試合前は遠くから見守っている感じという。「家族の理解があるからこそ、自分も結果を出して恩返ししたいと思う」
今回の五輪出場決定は日本人一番乗り。「早く決まった分、他の人より長くプレッシャーを感じられるのが嬉しい」。口ぶりは淡々としながらも、その目は2年後のメダルを見据えている。