地域活動の担い手を育成 市民団体が「定年塾」
「地域活動の新たな担い手を市民が育成」―。鴨居の市民団体が地域に潜在する団塊の世代などを対象に、「街を知り、地域活動を支える人材」を育成する取り組みを始めている。定年後の孤立を防ぎ、いかに活躍の場を地域に見出してもらえるか。この試みを追った。
「地域活動というと皆さん大変なものというイメージがあるようだ。しかし、考え方次第では定年後、社会と繋がるとても有効なひとつの方法だと思う」。「おもしろ定年塾」を企画した狩野陽二さん(鴨居在住/健康生きがいづくりアドバイザー)はこう話す。
狩野さんの所属する「鴨居駅周辺まちづくり研究会」は鴨居地域を中心に音楽イベントや清掃活動などを行う市民団体。数年前から活動の担い手の高齢化などをきっかけに、後進の育成に力を入れてきた。これまでにも様々な講座を開き、地域の「定年組」に参加を呼び掛けてきたが、思うように参加者を確保できないこともあったという。「地域デビューとか、社会貢献などと歌った講座では敷居が高いという意見もあった。そこで歴史散策として街をみんなで歩く企画を思いついた。きっかけは何でもいい。とにかく家から一歩出て、社会と繋がる機会をつかんで欲しいと考えた」。
狩野さんがこう話す根底には定年後、「仕事以外のいきがい」を求め奔走した自身の体験がある。「定年後、いきなり地域と接点を持つというのは難しい。何をしていいかわからないし、情報もない」。しばらくは趣味や散歩をして過ごす日々が続いたという。「地域情報を得ることも、それまで地域と接点のない人にとっては難しい」と狩野さんは話す。また、「特に男性に多いが、現役時代の肩書や役職に固執し、仲間とうまくコミュニケーションが取れないケースも多い」と付け加える。こうした理由が、定年後の男性の社会参加を遠ざけていると狩野さんらは分析する。
「けれど、男性の力や行動力も地域にとってはまさに宝。これをいかに地域のために使っていただくか。私たちにできるのはそのきっかけづくりでしかない」。定年後の自由時間は平均寿命として計算しても約10万時間あるという。これは、定年までの就労時間に匹敵する長さだ。「社会とのかかわりを持つ人ほど健康で過ごせる”健康寿命”が長いとも言われている。この講座で参加者が地域との接点を見つけてくれたら」と狩野さんらは話す。
自分たちの暮らしている鴨居地域を中心に、市内各地の史跡をたどる歴史散策を盛り込んだ5回連続の講座には定員を上回る26人が参加した。この取り組みには緑区が後援し、鴨居連合自治会などが協力。第1回となる今月11日のオリエンテーションでは参加者同士が自己紹介などを行い、地域活動と「いきがい探し」について見識を深めた。
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