先月行われたプロ野球ドラフト会議で日本ハムファイターズから3位指名を受けた、中山中学校出身の井口和朋投手((21)=東京農業大学北海道4年)が一時帰郷し、本紙に抱負を語った。「恩返しのつもりで頑張る」。言葉の端々に少年期を過ごした緑区への感謝が滲んだ。
「ここに帰ってくるとホッとする。自分の基礎を築いてくれた場所。プロでは応援してくれた人に恩返しができるよう、気持ちを強く持って前進したい」
東農大北海道ではリーグ戦で活躍、今年7月にはユニバーシアード日本代表(大学代表)として経験を積んだ右腕は安堵の表情でそう語った。「3位以下ならプロはない」。そう自分に課して臨んだドラフトだった。
プロへの意識を強くしたのは大学に入ってから。プロに進む先輩の姿や全国大会で対戦する各チームの存在が大きかったという。「実際に目の当たりにすると上のレベルを目指したいという気持ちが強くなり、憧れが目標に変わった」
小学1年の時、兄と一緒に野球を始めた。緑区の地元チーム「DMファイターズ」に所属。本人曰く「全然上手な選手ではなかった」。高学年に入り熊本県へ引っ越すも、中学は中山中へ。中学生の時には硬式野球クラブ「横浜都筑ボーイズ」に入団し、今も恩師と仰ぐ監督のもと、精神面を鍛え上げた。投手を始めたのもこの頃だ。
中学卒業後は同監督の母校、武相高校の硬式野球部へ。甲子園への出場は叶わなかったが、エースとして夏の神奈川大会8強に輝いた。「大舞台で結果を残したい」。高校での悔しい思いも手伝って、大学進学の際には全国大会出場を強く意識した。北海道を拠点に新たな挑戦の日々。辛い練習や体験したことのない寒さに「何度も実家のある緑区に帰りたいと思った」という。
「指名されるかギリギリの賭けだった」と控えめだが、自分の可能性に真面目に向き合い、努力を重ねてきた。いつでも心にとめていたのは「どんな相手と対戦する時も気持ちを強く。前に向かって」。仲間や恩師との日々の中で形成された勝負のセオリーだ。
指名後、家族や友人、恩師などから応援のメッセージをもらった。「ここに帰れば皆がいる。自分にとっての原点として大切にしたい」。束の間の休息の後、プロに向けての調整の日々が始まる。
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