十日市場の老舗酒屋「坂口屋(加藤修一代表・十日市場町900の1)」が現店舗の隣にビール醸造所とそのビールが飲めるバーを開くことが分かった。区内初となる施設で、142年の歴史を持つ同社としても初の試み。
区内初の施設
醸造所は、敷地面積31・58㎥の土地に9基のタンクを設置し年間4万リットル以上のビールの製造を目指す。醸造所はガラス張りのつくりで、ビールの製造過程を間近で見ることができる仕様だ。
味づくりにあたっては、イギリスで長年醸造家を生業としてきたジョージ・ダンカン・ジャニパー氏を招聘。地元の材料も利用しながら生産を進めていく。すでに近隣梨農家と調整に入っており、オープン後には第1弾として「浜なしビール」が作られる予定だ。
区内に醸造所が出来るのは初。市内で醸造所がある区は4区目となる。
醸造所にはビールが飲めるバーや飲んでいる酒が購入できる販売店を設置し、醸造所は見学や体験ができる環境を整備する方針だ。
新店舗は、創業以来根差してきた十日市場にちなみ、「TEN DAYS MARKET(十日市場)」の頭文字と創業年を合わせた「TDM1874」と名付けられた。
11月17日にオープンするが、醸造免許取得手続きの関係で醸造酒の販売は12月を予定。それまでは酒の販売を行っていく。これまで販売を行っていた店舗は倉庫として利用される。
創業142年新たな挑戦
坂口屋は初代代表の加藤長左ヱ門氏が1874年(明治7年)に十日市場に創業。現在事務所がある宝帒寺入口交差点前よりも中山側、坂の麓あたりに店舗を構えたので「坂の入り口にある店」という意味で「坂口屋」と名付けられた。当時は酒だけでなく、米や野菜も販売する「よろず屋」的な形態だったという。経営は決して順風満帆ではなく、一時は、地域の開発に伴う移転や量販店の台頭により”いつ潰れてもおかしくない店”とまで言われた。そうした中、5代目代表の加藤修一氏が32年前に「大きな販路は持たないが、思いのこもった酒蔵の味を広める場所を作りたい」と他にはない品揃えの専門店を再開。そうした努力により、今では「十日市場の顔の一つ」と言われるまでに復活を遂げた。オープンに向け新店舗の菊地裕明店長は「新たな町のランドマークにしたい」と語っている。
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