林文子氏が3選を果たした横浜市長選。3期目を前に選挙戦を通して浮き彫りになった課題や今後の政策について、2回にわたって見ていく。
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林氏が初当選した2009年の市長選、林氏は民主党(当時)の推薦候補だった。その後、12年に自民党が政権に返り咲いたこともあり、市会では自民・公明・民主の3会派が林氏を支える構図に。13年の市長選は自民党が林陣営を取り仕切り、8割以上の得票率で圧勝した。
自民党は林氏が2期8年間で積極的に取り組んできた大企業誘致などの経済政策を評価。今回の選挙も前回同様に自民党が多くのスタッフを送り込み、勝利に導いた。
前向き一転慎重に
8年間で林氏と自民党の距離が近くなる中、今回の選挙ではカジノを含むIR(統合型リゾート)誘致の是非が注目された。政府がIR実現へ向けて動く中、林氏も誘致に前向きな姿勢を示し、14年度からは毎年、IR調査事業を予算に盛り込んだ。今年度も1千万円を計上している。
しかし、昨年末にIR整備推進法が成立後、ギャンブル依存症の問題がクローズアップされ、今年1月には元衆議院議員の長島一由氏が「横浜にカジノはいらない」との主張を掲げて市長選出馬を表明。誘致に前向きだった林氏も「研究すべきことが多くある」と一転して慎重に。その後も「今は白紙」を繰り返した。自民市議の中に「横浜にカジノは必要」との声がある中、選挙中も林氏はその姿勢を崩さなかった。
市民団体が市長選前から期間中に街頭で行ったカジノに関するアンケートでは、約85%が誘致に「反対」だった。それでも林氏は「カジノ反対」を訴えた新人2人に勝った。
7月30日、投票締切直後に林氏の当選確実が報じられると、選挙事務所を菅義偉官房長官が訪れて祝福した。菅氏は今回の選挙でカジノは争点ではなかったとの認識を示した上で、横浜のIR誘致について「全体の流れを見ながら検討してほしい」と述べた。隣にいた林氏はそれを神妙な面持ちで聞いていた。
カジノについて「多くの市民が不安だと思う」という林氏。自民党からの期待と市民の声との間で、IR誘致についてどのような判断を下すのか、今は見通せない状況だ。
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