最新号:2010年9月 2日号
2010年7月29日号
○…「演奏する場所によって、深みのある音が出たり高い音が出たり、いろんな表情を持った楽器」と、ベトナムの民族楽器トルンの魅力を語る。トルンは、横に並べた竹を立て、上下に輪ゴムのついたバチで一オクターブの音を叩きながら演奏する一風変わった楽器。木琴に似た音色を奏でる。現在は、自宅でピアノやマリンバの教室を営む傍ら、日本で唯一のトルン奏者として、全国各地のコンサートに参加したり、ライブ活動に勤しむ。「魅力を広めていきたい。日本とベトナムとの文化交流の小さな架け橋となれれば」。まだ日本では認知度の低いトルンの普及活動へ、夢は膨らむ。
○…港北区生まれの港北区育ち。声楽家だった母親の影響で、幼少時代からピアノやマリンバなど、音楽に触れる機会が多かった。ただ「音楽で食べて行こう」という気持ちより、「色んな世界を見てみたい」という好奇心の方が強かったという。というのも、中学から始めたマリンバの演奏会で中国へ渡ったとき、言葉の壁にもどかしさを感じたからだという。「もっと外国の文化に触れ、交流を深めたい」。その想いが、外国の文化に興味を持つきっかけとなった。
○…外国語専門の高校を卒業後、東京外国語大学へ進学、大学ではベトナム語学科を専攻した。「色んなことに興味を持つ性格で、人がやっていることはやりたくない。あまのじゃくなんですよね」と、マイノリティな言語を選んだ自分を分析する。大学2年の春、ハノイへ留学したときに、初めてトルンの音色を聴き衝撃が走ったという。「ふくよかな音色に鳥肌が立った。絶対、日本人に聞かせたいと思ったんです」。一瞬でその虜に。以来、トルンを日本中に広めるため飛び回る日々が続いている。演奏する姿はまさにアジアンビューティー。日本中にトルンの美しい音色が響き渡る日も、近いかもしれない。