横浜市 CO2相殺量、年ごとに倍増 「見える化」などに課題
横浜市内の会議やイベントで導入された「カーボン・オフセット」のCO2相殺量が、2008年から年ごとに倍増していることが分かった。地域でのイベントでも導入され始めており、横浜市は更なる導入増を目論むが、取り組みの「見える化」が必要など課題もある。
二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出を相殺する取り組み、カーボン・オフセット。企業や団体、市民などが、イベントなどにおける同ガス排出削減の困難な部分について、他の場所で実現した排出削減量(クレジット)を購入したり、他の場所で排出削減を行ったりするもの。
横浜市では2008年度から導入しており、市や市内民間企業が実施したオフセットは、市が把握するところでは08年から昨年まで各年9件。件数は変わらないものの、相殺されたCO2は約190t、約350t、約880tと年ごとに倍増している。880tは、07年度における市民155人分の同ガス排出量に相当する。倍増の要因には、比較的大規模なオフセットの実施が挙げられる。09年には、神奈川新聞社など14社が横浜ベイブリッジの景観照明で発生するCO2に対して実施し、約200tが相殺された。また昨年には、APEC首脳会議の会場となったパシフィコ横浜(西区)やその周辺で排出されたCO2に対して、市が販売する飲料水「はまっ子どうし」の売り上げ金の一部をクレジット購入に充てるなどして約715tが相殺された。
地域へ広がる兆しもある。09年には、多くの区民が参加する中区民まつりで、市の区民まつりでは初めて実施され、昨年には戸塚区の川上地区連合町内会主催のレクリエーション大会で、地域単体のイベントでは市で初めて実施された。
認知度向上めざす
一方で、市民には取り組みが見えづらいといった課題もある。APECでは、飲料水の販売時にチラシを配布してCO2相殺量を周知したが、イベントによっては周知しないケースもあった。また年ごとなど、一定期間での相殺量も発表していない。市は「各地域が自主的に導入することが理想」とし、今後、各区の区民まつりでの導入を目指すほか、相殺量の周知を強化するなどして更なる認知度向上に努めていく方針だ。
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