最新号:2012年2月 9日号
2010年9月 2日号
“雑味”の美を大切に
○…家の庭の陶芸工房に一歩入ると、天井にはブドウの実が。元々あったブドウ棚を木の壁で囲んだ父の手作りだ。創作活動は、絵本に出てきそうなこのアトリエで行っている。初の個展にはここ2、3年で製作した新作も並ぶこととなり、「挑戦」の気持ちは強い。「意見や批判をもらえるのが楽しみ」と目を輝かせる。
○…「自分にしか、それも今しかできないものを作る」がモットー。友人に「民芸風」とも評される作品はどれも味があり、あたたかみに溢れるものばかり。「これまで自分がしばられていた陶芸の基礎をくずしたいんです」。デザインを専攻した大学時代は、製図通りのサイズや形を作ることを学んだ。それに反して、今は製作過程で生まれる思いがけない偶然のゆがみや発色などの“雑味”に、美しさを見出している。
○…生粋の都筑っ子。幼かった当時、地域は造成真っ最中。「覚えてる景色は山の断面。だから、土とか地層というものに親しみがあるのかも」。茅ケ崎小時代から、粘土遊びなどものづくりが好きだった。茅ケ崎中では美術部に所属。顧問の専門が陶芸だったことが陶器づくりとの最初の出会い。「新鮮で面白くて夢中になりました」と当時のことを振り返る。川和高3年の時、美大へ進むことを決意。背中を押したのは、「本当にやりたいことをやりなさい」という両親の言葉。「親の愛情が自信になりました」と微笑む。大学院を経て学んだのは素材選びの面白さ。「都筑の土をブレンドした作品も考えてるんです」。地元や家族への思いも陶器に込めたい。
○…現在は、銀座のアトリエや都内の高校で講師も務め、教えることにも大きな魅力を感じているという。「特に子どもはおもしろいですよ。発想が豊かで、常に自分をリセットしてくれる存在」と目を輝かす。いつか自身のアトリエでも教室を開くのが夢。今回の個展は、夢の実現への大きな第一歩となるだろう。