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2019年5月1日号
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掲載号:2010年9月23日号
横浜市内に本社がある上場企業の減少が続いている。浜銀総研によると、市内の上場企業は8月末時点で110社と、ピークだった2007年末の122社に比べ12社減った。事業再編や経営破綻などで市場から退出する企業が増える一方で、新たに株式を公開する企業数が伸び悩んでいることが最大の要因だ。
横浜市の新規上場企業は2007年に6社が上場して以来、3年連続で1社も出ていない(浜銀総研調べ)。上場企業の「出入り」のバランスが崩れ、「入り」にブレーキがかかったことが減少に拍車をかけている。
背景にはリーマンショック後の市況悪化や、上場コストの高騰がある。ここ数年の株式市場の低迷により、上場後に期待通りの資金調達が難しくなった。また、景気の減速で収益計画が狂い、上場を見送らざるを得なくなった企業が増えた。
さらに、2008年4月から全上場企業に内部統制報告制度(日本版SOX法)が義務付けられ、会計制度が厳格化。その対応のために多額な監査費用の負担がのしかかる。大手証券関係者は「上場を目指すのは、まだ体力が弱い新興企業が多い。さまざまなコスト増に耐えられないと判断しているのでは」と分析する。
また、最近では市外へ本社を移転する企業も増えている。今年4月には物流業の(株)バンテックが西区から川崎市に移転、来年2月にはNECモバイリング(株)が港北区から東京都に移転する。両社とも「横浜に魅力がなくなったわけではなく、あくまで事業戦略上での判断」と話すが、税収面からも横浜市にとっては痛手だ。
一方で、横浜から新規上場を果たそうと意欲を燃やす企業もある。都筑区に本社を構えるベンチャー企業の社長は「デメリットもあるが、上場による企業の信用度やブランド力の向上は、やはり中小企業にとっては魅力」と3年後の上場を目指して準備を進めている。
市では上場企業の増加は都市に活力を与えるとの考えから、上場を目指す企業に対しては全面的にバックアップする方針だ。しかし、「企業の意識が変わる中、単なる数の増加にはこだわらない。魅力ある企業を増やす一つの選択肢として捉えていく」としている。
2019年5月1日号