タウンレポート 読み聞かせで"心の居場所" 母親だけを集め、母親のために活動
”絵本の読み聞かせ”と言えば、大人が子どもに聞かせるもの。では、大人が大人に行う、読み聞かせをご存知だろうか。鹿毛美枝子さん(勝田南在)は、毎月1回、港北ニュータウン聖書パブテスト教会で、”母親のための”読み聞かせを行っている―。
「うちの子は、朝から靴はこれ、コートはこれって、一度言い出したら譲らないんです…」。絵本を読み終えて一息つくと、母親からはこんな声が。「とってもいいことよ。もう自分の主張があるなんて、素晴らしい!」。その一言に、母親は励まされ、勇気をもらう。この活動は、母親への”読み聞かせ”を通して母親自身に絵本を更に好きになってもらい、心を豊かにし、子どもへの愛情をより深いものにしてもらいたいと行われているもの。母親が聞いている間、子ども達の相手は教会のスタッフが担当。母親にとっては、束の間の”自分だけの時間”ともなっているようだ。
鹿毛さんは18年前から、『二匹のさかな文庫』という親子対象の読み聞かせを行っていた。また市の子育て支援者として、区内の母親の相談にも対応していた。「都筑区は転居してきた人が多く、居場所の無い母親が多い。母親自身が愛されている実感が無いと子供を愛することは難しいのに」。
そこで3年前、同文庫の後の時間に”母親だけの会”を開き始めた。「子どもは尊い宝物だから愛して育てて欲しい。絵本にはそんなメッセージがある」。
鹿毛さんがこれらの支援に取り組むようになったのは、20年前。白血病によって6歳で他界した次女、永遠(とわ)さんへの思いからだ。当時、永遠さんは県立子ども医療センターに入院。子どもの看病に通う中で痛感したのが”大人になれない子ども達がいる”という事実。鹿毛さんは、永遠さんに、いつも絵本を読んであげていたという。
「子どもの病気と死を通して”何かをしてあげたい”という気持ちが強くなった」と話す鹿毛さん。現在は、永遠さんが入院していた同医療センターでピアサポーターとして、難病の子の親に対し、心の支援も行う。
「母親の肩の力を抜いて、楽にしてあげたい」。こんな鹿毛さんの温かさが、母親達のもう一つの”心の居場所”となっているようだ。
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