29日から中区で公演する南山田町の影絵劇団かかし座代表の 後藤 圭さん 仲町台在住 61歳
言語の壁、「影」で越す
○…舞台公演の演出やプロデュースを通し、劇団の指揮を執る。影絵は今、テレビ番組やプロモーションビデオなどでも活用される時代。世界ツアーを終え、29日からは地元横浜で新作を上演予定だ。創立から半世紀以上、世界10カ国23都市で言葉の壁を越えて観客を魅了してきた。「楽しませたい」が出発点。「進化を続けながら、手影絵の可能性を探りたい」
○…かかし座は演劇としての影絵に着目した父が1952年に東京で立ち上げた。作業場兼稽古場となる自宅には、切り絵を使った番組作成用の紙人形がたくさんあった。「物心ついた時から遊んでいたよ。団員によくかまってもらった」と懐かしむ。成長とともに一時は距離を置くようになったが、音楽の道を歩み始めた大学在学中、父が病気で突然の他界。「大事件だった」。急遽、母親が代表に就いたが、撮影を控えたテレビシリーズや家族、劇団の行く末を案じ、現場を率いる決意を固めた。
〇…団員は年上ばかり。「若者に何ができるのか」という声もあった。構成や絵コンテを一から学び、1話40カットあるシリーズ作品を52本作り上げた。「あの時代はとにかく乗り越えるだけだった」。父の死から2年後、代表に就任。ほどなくして、テレビ番組の視聴率低下に伴い活動の場を舞台へ移そうと試みるも、反発はひときわ大きかった。その時に思い出したのは父の言葉。「マッチ箱はこんなに小さな箱でも積むと背が高くなる」。影絵の可能性を信じて父が立ち上げた劇団は、当時よりも仲間や依頼の数が増えた。先代の意志を継ぎ、より高いところから世界を眺めようと今まさに箱を積み上げている。
〇…海外を飛び回り、ほとんど休みはないが移動中の機内で映画を見るのが唯一の楽しみ。時間が空くと自宅近くのせせらぎ公園を散歩する。「影絵は年齢問わず誰でも楽しめる。常にわくわくできるような劇を作り続けたい」
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