神奈川県内では運転免許の自主返納者数が増加している。都筑警察署管内は16年の1年間に452人が返納。15年の370人と比べ、約2割増加していたことが分かった。
都筑警察署によると、返納理由として大半を占めるのが「運転の必要がなくなった」というもの。区内は市営地下鉄や市営バス、東急バスなどの交通網が整備され、利便性が高い点も返納者増加の一因と推測される。次いで「身体機能の低下を自覚した」「家族、友人の勧めを受けた」との回答が多かった。
昨年12月は60人
昨年10月、港南区で80代の男性が運転する軽トラックが集団登校中の小学生の列に突っ込み、1年生の男児が死亡する事件が発生した。事件後の昨年12月の区内返納者数は、年間最多となる60人。これは月平均37・6人の1・6倍の数値で、10月、11月も平均を上回っている。都筑警察署は「この時期の増加が事故の影響によるものかはわからない」としている。
運転免許の自主返納制度は、加齢による身体や認知機能の低下により運転に不安を感じる高齢者などが免許を自主的に返納できるよう1998年、国が定めた。住所地を管轄する警察署などで手続きを行うことができる。
事故、104件が高齢者
区内で昨年1年間に発生した交通事故は644件。このうち、65歳以上の高齢者が運転する自動車(二輪含む)が関わる事故は104件あった。幸い死亡事故は発生していない。高齢運転者の事故を防ぐため、国は今年3月12日に改正道路交通法を施行する。75歳以上の高齢運転者に一定の違反行為があった場合、臨時認知機能検査を受ける必要があるほか、検査結果によっては追加で講習を受ける。また、認知症の恐れがある場合は医師の診断書提出や免許取り消しの対象となる。
高齢運転者の事故対策について、都筑警察署交通課の田中大輔課長は「土木事務所や学校などと連携して対策をしていきたい」としている。
「運転経歴証明書」周知へ
返納者には県公安委員会が「運転経歴証明書」を発行している。返納日から遡って過去5年間の運転歴を証明するもので、身分証明書にもなる。
1月末に免許を返納した茅ケ崎南在住の水原栄美子さん(66)は、この40年、日常的に運転することがなく、運転経歴証明書が身分証になるならと返納を決意した。「買い物は夫の車に乗せてもらい、普段は自転車に乗るので不便を感じていません」と返納後の生活に支障はないという。
田中課長は「交通安全イベントなど家族が集まる機会に、制度や運転経歴証明書について周知を促したい」と話している。
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