池辺町の廻り地蔵 市の無形民俗文化財へ 子の健康を願い各家に
池辺町の集落の一つである薮根に現在も残る「廻り地蔵」が11月15日、市の教育委員会から無形民俗文化財に指定された。
廻り地蔵とは、一体の地蔵を講中と呼ばれる村落組織内で順に送り、その家ごとに一定期間まつる民俗行事。地蔵が納められた約30kgの厨子には2本の縄が取り付けられており、背負って次の家まで送り届けられる。江戸時代ごろの疫病がきっかけで始められたとされるが、起源は諸説ある。主に安産や子育てのご利益があり、「子育て地蔵」と呼ぶことも。以前は鶴見川流域の多くの地区で行われてきたが、講中の減少などにより廃止になった地域も多い。市教育委員会は横浜の歴史、文化または自然を理解する上で重要なものと位置づけ、緑区白山町、港北区新羽町、泉区下飯田町の廻り地蔵とともに文化財に指定した。
廻り地蔵のまつり方は地域により様々。薮根地域は家ごとに滞在する期間が正式に定まっておらず、3日から1週間ほど。毎朝茶と飯を供えるほか、折鶴や人形などを厨子内の格子に吊り下げ、背負って次の家まで送る。最後は観音寺(池辺町2565)に届けられ、またはじめの家に送られる。この繰り返しが何年も続いているという。講中の一人である岸とし子さん(71)は「我が家では当たり前のように行われていた文化。子どもが大きくなった今でも大切にまつっています」と話した。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|