リニューアルした「南三陸さんさん商店街」の照明デザインを行った 千葉 智也(としや)さん 勝田町在勤 40歳
東北に「復光」を灯す
○…「『想像を超えた素晴らしい店になった』と笑う店主たちの表情が忘れられない」。電気工事のみならず、「明かり」に関するさまざまな提案を行う照明デザイナーは真摯に語る。津波に襲われた南三陸町で仮設商店街のリニューアルオープンに携わり、12店舗のライティングデザインを手掛けた。寿司ネタを新鮮に見せる工夫などを凝らし、店主らの思いを光で表現した。「明かりの価値を知った仕事だった」
○…勝田町にある武蔵野電設(株)の社長を務める。商業施設のイルミネーションや寺院、美容院などの照明デザインを設計。空間を光でプロデュースするアイデアマンだ。また「地域の方と顔が見える関係を築きたい」と昨年「住まいのおたすけ隊」を開設。電球の取替など、生活の中で起きるちょっとした問題を解決している。「今まで培ってきた知識を少しでも地域に還元できれば」と謙虚に話す。
○…鶴見区で生まれ育つ。恵まれた体格を生かし青春時代は野球部で活躍していたが、高校1年の時、怪我に苦しみ野球の道を断念。途方に暮れていたある日、学校掲示板で障害者ボランティアの張り紙が目に入る。「自分が活躍できる場はこれだ」と活動を始める。耳や目に障害のある子どもたちと遊ぶことの難しさとお互いの気持ちが通じ合った時の喜びを知った。「困っている人はほかにもたくさんいる。将来、人の役に立ちたい」と大切なことに気づかされた。
○…働き盛りの34歳の時、東日本大震災が起きた。妻の実家である福島県いわき市に向かったのは震災から3日後。幸いにも義理の両親は無事だったが、家は全壊。「みんな明かりのない生活を強いられていた。真っ暗なあの光景が目に焼きついている」。実の父も南三陸出身。状況が気になり今も東北へ足しげく通う。「『復興』を『復光』として捉え、被災地だけでなく、光で人を助け続けたい」と前を見据える。
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