帷子川の鶴ヶ峰付近でアユの群れが確認された。今年4月に中堀川との合流点(西川島町)に区内2カ所目の魚道が設置されたことで、アユが遡上したためと考えられる。水質改善が見られる一方で、流域内への不法投棄が後を絶たない。市民団体は川を守ろうと、区民へ意識向上を訴えている。
帷子川の魚道整備は横浜市が2008年から進めており、用賀下橋の下流に昨年、初めて設置された。魚道とは、ダムや堰(せき)などにより魚の遡上が妨げられる箇所に、遡上を助けるために設ける水路。鶴ヶ峰付近では落差部が障害となり、アユが遡上できない原因となっていた。帷子川の保全活動を続けるボランティア団体「帷子川はふるさとの川の会」(荒川祐次代表)ではアユが上流に遡上できる環境を整えようと、魚道設置を市に呼びかけ、事業が開始。来年度までに全4カ所に設置される予定。
新設された魚道は、昨年設置された用賀下橋下流と同じ「円柱式粗石魚道」。中堀川との合流点には約3mの落差があった。そのため、昨年まではほとんどアユを確認できなかったという。同時期に、神奈川県が管轄する西谷にある放水路に魚道が設置されたこともあり、8月19日現在、鶴ヶ峰バスターミナル下の水道橋周辺まで、川を飛び跳ねるアユの姿が橋の上から確認されている。
同会の副代表・前原修さんは「アユは川がきれいであることの象徴。会を発足させた時に思い描いた川の姿に近づいている」と喜びをかみしめる。同会によると、9月ごろまでアユの群れが見られるという。
大型ごみ放置も
同会では月3回ほど、帷子川の区役所付近から御殿橋まで約1・5Kmにわたり清掃活動を続けている。メンバーが活動範囲外の水道橋付近でアユの群れを発見したことから、8月中旬に同所周辺の清掃活動を行った。下水処理が進んだこともあり、水質は改善されているが、依然なくならないのがごみの投棄問題だ。同会メンバー7人が3時間かけて回収したごみは2トン車1台分。川からは自転車や家庭用ゲーム機、テレビ、パソコン、テーブル、鉄パイプなど目を疑うようなごみが次々と出てきた。
しかし同時に、川底にはアユがいる証拠である「食(は)み跡」(アユが石に付着したコケを食べた跡)も。「せっかくアユがいるのだから、川をもっときれいにしよう」―。今後、活動範囲を広げることを決定した。同会では「川を大切にしてほしい。ごみのポイ捨てはやめて」と呼びかけていく。
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