夏目漱石や島崎藤村など、数々の文豪、文学に愛された町、湯河原―。「湯河原文学賞」は文化の香り高いまちづくりの一環として湯河原町(冨田幸宏町長)が主催しているもの。第12回となる今回、俳句の部では「橋」をテーマに7月2日から10月10日まで募集、全国から3762句の応募があった。その中から、長谷川きよ志さん(71)=南本宿町=の作品が優秀賞に選ばれた。「過去に2度、入選したことはあったけど、優秀賞は初めて」と念願の受賞を喜んだ。
長谷川さんの作品は「湯の町を 二つに分けて 橋朧(おぼろ)」。自身も箱根湯本の出身だが「妻が湯河原出身なので、よく行く機会があった」といい、親しみある湯河原の情景を思い浮かべて今回の作品を詠み上げた。「熱海市と湯河原町の境には千歳川が流れている。そこにいくつも架かる橋をイメージした。湯けむりや朝もやといった湯河原の雰囲気を出すのに『朧』という春の季語がしっくりきた」と作品を解説する。
本格的に俳句を始めたのは高校生の頃。「所属した文芸部の顧問が俳句の先生で、そこで基礎を学んだ」と当時を振り返る。その後、俳句会「鷹」で18年間腕を磨き、10年ほど前からは俳句結社「春野」を中心に活動を続けている。「見たもの、感じたものを五・七・五で表現するのが俳句」との父の教えに従い、こども自然公園や山下公園を散策し、自然を感じることも大切にしている。フレーズが浮かべば、句帖や手帳にメモを欠かさない。
「俳句結社に毎月7句を出すから、20〜30句は詠む」と日々俳句と向き合っている。「良いものからそうでないものまで出来上がるけど、1年に1句でもいいから代表作といえるような俳句を作っていけたら」と今後の制作に意欲を見せた。
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