横浜市は5月、保育所待機児童数が前年比で179人減りゼロになったと発表。認可保育所が4月まで1年で5カ所新設の34カ所に増えた旭区でも、昨年から12人減少した。成果が見られる一方、希望する保育所に入所できない保留児童(※)が市で1746人、旭区では77人(4月1日時点)いることなど課題も残る。
2010年に市が掲げた「3年で待機児童をゼロに」という数値目標は達成されたが、入所保留児童を抱える家庭では、勤務先との関係や経済的な事情などで悩むケースも多い。
各家庭の悩みにきめ細かく対応しようと、市が2011年6月に開始したのが保育サービスや認可外の空き状況などの情報を区役所で提供する相談員「保育コンシェルジュ」だ。「横浜方式」として国が評価する施策の一つで、全区に最低1人配置されている。
旭区役所に勤務する保育コンシェルジュの中島礼子さんは「今年度は希望の施設に入所できないと見切って、申請を取り下げた人もいる。一刻も早く子どもを預けたいのか、希望を優先して待つのか家庭によって事情は異なる」と話す。
「希望の入所がかなわず『空き待ち』をする保護者には、認可外など空きのある施設を紹介する」(中島さん)というが、自宅から離れている施設は敬遠されがちなのが現状だ。「遠くまで通うには、早起きしてバスなどを使わなければならない。復職や再就職で少しでも家計の足しにしたいという保護者にとって、経済的な負担増は厳しい」と中島さん。区内でも特に交通利便性が低い地域では、軽視できない課題だ。
コンシェルジュは週4日出勤で、相談内容に応じて区職員と協力しながら対応する。旭区こども家庭支援課では「子育て支援施設などに出向いて幼稚園と認可保育所の違いを説明するなど、職員だけでは手が回らなかったサービスも可能になった」と効果を指摘する。
「入所はあくまでもスタート地点。施設との関係や家庭環境の変化など、入所中の悩みにも個別にフォローしていく必要がある」(中島さん)。保健師やケースワーカーらも含め、職員が連携しながら情報共有し、対応していく方針だ。
※【入所保留児童】…保育所申し込み者のうち【1】横浜保育室など認可外施設に入所【2】保護者が育児休暇中【3】保護者が主に自宅で求職活動中【4】希望する特定の保育所のみ申請中――のいずれかにあたる児童を指す。
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