旭区上白根町の西ひかりが丘バス停で10月15日、包丁を持った70代男性がバスに立てこもる事件が発生した。この事件だけでなく、区内では高齢者による万引きや暴行などの犯罪が多発している。若年層よりも件数が多いが、青少年の指導とは異なる対策が求められることから、旭警察署は対応の難しさを指摘する。
バスジャックが発生したのは午前6時50分頃。包丁を持った男性が乗車後、バスを出すことを要求。約30分後に運転手が取り押さえて、運転手と乗客5人にけがはなかった。容疑者はもともと、精神疾患を抱えていたという。
この事件以外にも区内では高齢者(60歳以上)による犯罪が多発している。旭警察署によると、その多くは万引きと暴行・傷害だという。今年度は10月22日時点で、万引きが65件、暴行・傷害は24件、その他が6件。昨年度とほぼ同様の推移となっている。
また、青少年(14〜19歳)の同時期の犯罪件数は、万引き41件、暴行・傷害5件、その他1件。同署担当者は「(若者の犯罪が多く、高齢者が少ないという)一般的な認識とは異なる」との見解を示す。人口比率が違うため一概に比較はできないが、「単純な件数は高齢者の方が多い状態」となっているようだ。
対策に難しさも
万引きの場合、「若者の場合は遊び半分であることが多く、授業などを通じて啓発を行うことができる」と同署担当者は話す。しかし、「高齢者は『お金を払うのがもったいないから』といった理由であることも多い」という。財布に十分な現金があるにも関わらず犯行に及ぶケースが多く、「意識の問題なので対策は非常に難しい」と話す。
行政も防犯・防災活動を推進しているが、被害者になることを防ぐ活動はできても、加害者となることへの抑止力を働かせるのは難しいという。「権利擁護の観点からも、そこまで踏み込むことはできない」(区役所担当者)のが現状だ。高齢者の見守り活動を行う、旭区民生委員児童委員連絡協議会の大越由美子会長は「見守り活動を強化しつつ、周囲の方とも協力していくしかない」と話している。
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