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診療所から見る 左近山・市沢地区【1】 地域の"総合力"再構築を
高齢化率約40%と旭区内でも特に高齢化が目立つ左近山地区。1968年の左近山団地建設から47年。集合住宅ゆえ、急速に高齢化が進んでいる。入居当初の人口約2万人が、約9300人(2013年時点)と半減し、世帯あたり2人に満たないなど独居高齢者の課題も依然残る。
「訪問診療を行う診療所の医者として、左近山・市沢地区の環境に『疲弊感』を感じている」と話すのは、同団地入居開始と同時に開院した左近山中央診療所の福村正院長。地域をめぐる中で、高齢患者や生活困窮者、障害児・者など外側からは見えづらい社会的弱者の暮らしぶりを目の当たりにしてきた。「表立ってはいないが、状況は想像以上に厳しい」。今年4月からの介護保険制度改正により、自己負担額や利用制限が見直される。「社会的弱者にとって、どれほど大きな影響を受けるのかは計り知れない」と危惧する。
現状把握が急務
同診療所は内科の有床診療所として、地域医療と福祉の充実に力を入れる。訪問診療も20年続けており、常時40人前後の患者を受け持つ。「訪問診療は外来の延長」と言うように、ライフワークとなっている。
左近山で育った福村院長にとって、地域医療を志すのは「親の介護の如く、ごく自然のこと」。そんな”左近山っ子”が医師となった今、できることは何か―。医療の視点から自身に問いかける。しかし、医療だけでは解決に至らないことも実感している。「まずは地域全体が現状を正しく認識すること。そして、住民参加による包括的な生活支援ネットワークを構築し、さらには具体的に動かしていくことが必要」と指摘する。
昨年は住民によるNPO「オールさこんやま」が発足し、支援体制に動きが見えてきた。だが、機動させるには地域の総合力が必要だ。「地域は『ふるさと左近山』を創生しようと活動している。左近山の人間として、医師として、力になりたい」と前を見た。(続く)
■取材協力/左近山中央診療所【電話】045・351・4011/旭区左近山16の1左近山団地1の35の102
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