横浜市繁殖センター(市川典良所長)=川井宿町=がこのほど、カンムリシロムク野生復帰事業の活動成果を認められ、第29回古賀賞を受賞した。希少動物の繁殖に特に功績のあった動物園や水族館に贈られる国内最高の賞で、横浜市内では初の受賞となった。
古賀賞は希少動物の保護繁殖に貢献した日本動物園水族館協会元会長で、上野動物園初代園長・古賀忠道博士の業績を記念して1986年に制定。横浜市繁殖センターはカンムリシロムクの血統管理に基づく繁殖技術を確立したことと、インドネシア共和国との野生復帰事業の成果が評価された。市川所長は「簡単にもらえるような賞ではない。思いがけない受賞ができ、とても名誉なこと」と喜びを語った。
カンムリシロムクはインドネシア・バリ島の固有種で、バリ島西部に位置する西部バリ国立公園にのみ生息する。全長約25cm、体重約100gのムクドリの仲間で、頭部に長い冠羽があり、真っ白な羽色が特徴だ。美しい羽色から飼鳥として乱獲されたことや環境破壊などにより、1970年代ころから生息数は激減。現在の野生生息数は50羽以下で、近絶滅種に指定されている。
125羽を送致
横浜市では1976年に野毛山動物園=西区=で飼育を開始。1999年の繁殖センター開設後は、飼育を引き継いだ。
同センターでは同鳥専用の飼育施設があり、これまでに第7世代までの累代繁殖に成功。現在も約100羽が飼育されている。2004年からはインドネシアと野生復帰事業を展開し、昨年までに125羽を現地へ送っている。市川所長は「種の保存は動物園として大切な役割。計画通りに増やしていくことは容易ではないが、それができたことを誇りに思う。今後も継続していく」と話した。
今後は15年から17年までに40羽を送る予定だという。同鳥はよこはま動物園ズーラシア=上白根町=のアジアの熱帯林エリアで見ることができる。
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