アユ遡上エリア拡大へ 環境改善計画が本格始動
横浜市は旭区を流れる帷子川に生息するアユの遡上範囲拡大を目的に昨年末、「アユが遡上する帷子川アクションプラン」を作成した。今年度から、アユが遡上する環境課題などを改善する取り組みが本格的に始まった。
同川では、これまでに鶴ヶ峰駅北側にある鶴峰橋下流周辺まで遡上してきたアユの姿が確認されている。計画の目標は2019年までの3年間でアユの遡上範囲を、さらに2・5キロ上流の今宿南橋付近まで拡大すること。具体的には「鶴峰橋下流落差工」=写真=「鶴峰橋上流落差工」、「今川橋下流落差工」の3カ所に魚道を整備するほか、生息に適した環境づくりに取り組むとしている。市河川事業課によると、今年度下半期にも鶴峰橋下流落差工の整備が始まる予定。
帷子川は全流域の8割以上が市街地を流れる都市河川。過去には何度も治水工事が実施された。川には「落差工」と呼ばれる川底の勾配を安定させる構造物が設置されており、川を遡上するアユにとって、この落差工の存在は上流へ向かう際の大きな障害となった。そこで市は09年度から11年度にかけて、同川にある落差工のうち下流2カ所に魚道を整備。その後の調査で、整備個所より上流にアユの生息が確認されたことから、今回の計画策定および実施に至った。
ゴミなどの課題も
市内に生息するアユは、高度経済成長期だった1965年あたりから姿を消したと言われている。主な原因は水質の悪化など。その後、水質が徐々に改善に向かうと、市内の河川でも再びアユの姿が確認されるようになった。
「計画が策定されたことについては大歓迎」と話すのは、月に3回程度、同川の清掃活動などに取り組む「帷子川はふるさとの川の会」の前原修代表。前原代表によると、今年も5月末に鶴ヶ峰の水道橋付近でアユの姿を確認したという。
「アユの数は、その年の天候(雨による増水の有無)や水質環境などにも左右される」。区内を流れる部分の環境については、同会が先月行った清掃活動では、70リットルのゴミ袋で9袋以上にもなる量のゴミが回収されている。ゴミの内訳は、一昔前は産業廃棄物が多かったのに対し、近年では家庭用品が大部分を占める。前原代表は「魚が住みやすい川にするためには、我々のようなボランティアだけでなく、川沿いに住む地域住民の皆さんの協力が不可欠」と話した。
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