戦前に海外に渡り、1945年8月の終戦以降に帰国を余儀なくされた「引揚者」を対象に行われた在外私有財産実態調査。1964年の調査から50年以上が経過したことを受け、同調査票約46万枚を収蔵している神奈川県立公文書館(中尾)は10月1日から、一般公開を始めた。12月27日(水)まで、関連資料の特別展示も行われている。入場無料。
今回一般公開が始まった在外私有財産実態調査票は、社団法人引揚者団体全国連合会が1964年に行ったもの。調査は戦前、朝鮮半島・台湾・満州などに渡った人たちが所有していた資産の補償を、国に求める際の資料として役立てるために行われた。調査票の総数は全国分約46万枚。神奈川県分は約3000枚に上る。調査内容が年収や財産など、極めて個人的な情報であることもあり、50年以上が経過したタイミングでの公開となった。
調査票の整理に携わった齊藤達也資料課長は「とにかく量が膨大で、すべての調査票が都道府県別になっているわけではなかったので大変でした。仕分けをするだけで半年ほど掛かりました」と話す。また、今回の一般公開に合わせ、海外引揚の背景をわかりやすく紹介するための特別展示も行われている。「在外私有財産実態調査票とは」「引揚者・引揚とは」「満蒙開拓を中心にした戦前の海外渡航」「文字記録と実体験の接点」の4つの切り口で関連資料が紹介されている。展示を担当した木本洋祐さんは「当時の海外渡航がどんなものだったのか、その背景を時系列に沿ってわかりやすく紹介できればと思い準備してきました」と思いを話した。
14日に講演会
調査票公開に合わせ10月14日(土)、専門研究者による記念講演会が行われる。講師は国文学研究資料館准教授・加藤聖文氏。「海を渡った県民たち・海外引揚から見たアジアと神奈川」と題した講演が行われる。開催時間は午後2時から4時まで。参加費無料。
申し込みは同館資料課【電話】045・364・4463または、インターネットの電子申請システムhttp://www.pref.kanagawa.jp/cnt/p1176844へ。
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