最新号:2012年2月 9日号
2010年9月 2日号
命の限り 実を育てる
○…9月4、5日に例大祭が催される相沢の諏訪社。今年からその総代として、「世話人」と呼ばれる近隣の人々約50人を取りまとめる。8月に行った打ち合わせには、世話人約30人が参加。積極的に意見交換をした。「例大祭は恒例行事。毎年同じ流れでやればいいと思っていたが、より良くしたいと思っている人や、新しい意見を持っている人もたくさんいた」。自身も世話人として長年活動してきたが、総代となり人々の熱心さを改めて痛感し、感慨深く話す。
○…総代という役は「人生最後の役職かな」。地域の交通安全、防災関係団体や相沢の第七町内会初代会長、農業関係団体など、各方面で尽力してきた。その原動力は、小学生の頃に感じた「この世にいるからできるんだ」という思い。戦争の最中、耳の病気にかかった時、名医の治療で一命を取り止めた。その一方で、食べるものがなく命を落とす人たちも多く目にした。命を救われたこと、生きていることへの感謝。終戦後は高校へ進学せず、実家の農業の仕事に就き、食料不足の中作物を育てた。「死ぬ気になったらどんなことだってできる」。力強いフレーズも悠長に話す様子には、強い意志と誇りが感じられる。
○…定年制の役職もあり、今では多くを後任に引き継いだが、ボランティア活動の火は絶やさない。「今の自分があるのは皆さんのおかげだから」と“恩返し”を続ける。自宅を建て替え介護施設「ふるさとホーム瀬谷」を建て、設立に貢献したほか、中国を訪れ荒地での果樹栽培を手伝うなど、活動の場は自宅から世界まで、幅広い。
○…名前の本当の字は「實」。「農家では『実』の方が縁起がいい」と曾祖母に言われて以来、「実」の字を使ってきた。今では「この名前で活動をするうち、芸名みたいになっちゃったけどね」と笑う。その名のように、田畑だけでなく、自身や多くの人の人生にも、実りを与えているようだ。