二つ橋高等特別支援学校に通う白川原飛鳥さん(3年)が、FID(知的障害)バスケットボール日本女子代表選手に選ばれ、9月26日からイタリアで開幕するINAS(国際知的障害者スポーツ連盟)グローバル競技大会に出場する。
この大会は2年に一度開催される、知的障害のスポーツ選手にとって最高峰の世界大会。白川原さんが出場するバスケットボールなど、公式7競技が行われる。
白川原さんは高校生ながらFIDバスケ県選抜チームに加わり、全国優勝などに貢献。日本代表候補の強化合宿にも参加し、社会人に交じって活躍してきた。
ポジションは主にフォワード。個人でも得点を稼げる攻撃力と、瞬時に判断する多彩なパスが持ち味だ。現在は代表チームや社会人チームでの練習と学校の部活動を両立し、バスケ漬けの毎日で技術を高めている。
候補選手の中から日本代表に選ばれるのは今回が初で、フレッシュな選手として「失敗してもがむしゃらにやるだけ。状況に合わせてしっかりパスを回していけたら」と話し、「外国の選手と初めて対戦する。最後まで諦めずに頑張りたい」と、力強く意気込んでいる。
「今を精一杯頑張って」
「バスケをやってくれて良かった」。娘の飛鳥さんを見守り、障害の苦悩や困難を一緒に乗り越えてきた母・純子さん。「私も飛鳥も、スポーツを通じて世界が広がった」と、今では穏やかに振り返る。
飛鳥さんは、顔全体に手術が必要な状態で出生。「ショックだった」。数年に渡って手術を受けなければならず、幼児期には知的障害も見つかった。
「一人遊びが多く、(障害が)団体競技に向かないと言われたこともあったので、バスケができるのか不思議だった」。顔の矯正手術を受ける中、ミニバスをやっていた兄の影響で、小学3年生で自身もチームのメンバーに。素直で負けず嫌いな飛鳥さんは、人一倍の情熱を持ち、真っ直ぐにバスケに打ち込んでいった。
中学では個別支援級に通いながら、3年間バスケ部に在籍、走り込みや自宅での筋トレなど体力作りに励んだ。
バスケを続けるうち、障害のことでチームメートに強く当たられることもあったが、その度に家族のほか、先輩や同級生、コーチ、顧問の教諭らのサポートが。純子さんは「バスケを通じ、人とのつながりに救われてきた」ことを痛切に感じたという。
高校1年生の夏、5回に渡った顔の矯正手術が終わった。以降の活躍には、「健康で元気はつらつ頑張っていて、本当に嬉しい」。
飛鳥さんは「仕事をしながらバスケを続けたい」と、就労実習で多忙な中、世界大会や高校生最後のバスケ部の大会に向けても練習する。「今しかできないことを元気にやってほしい。そのために精一杯サポートしていきたい」。純子さんは温かい眼差しで話していた。
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