瀬谷丸 ヨコハマからおおつちへ 進水式に瀬谷から約130人
岩手県大槌町で15日、定置網漁船「瀬谷丸」の進水式があった。瀬谷区の有志が立ち上がり、形あるもので支援をしようと被災地の漁師に漁船を贈った一大プロジェクトが完結を迎えた。
瀬谷駅前を前日(14日)夜に発ったバスツアーの参加者らとともに大槌町に集結した瀬谷区からの参加者は、約130人に上った。
進水式には、碇川豊・大槌町長をはじめ、新おおつち漁業協同組合・阿部力(つとむ)組合長代行、同・小石道夫漁労長ら大槌町の関係者、「瀬谷丸」を建造した石原造船所(熊本県天草市)・石原専務、瀬谷からは薬師寺えり子瀬谷区長、「三陸沖に瀬谷丸を!」実行委員会・露木晴雄会長、衆院議員、市会・県会議員らが駆けつけた。
進水式であいさつに立った阿部組合長代行は「瀬谷区民の皆さまに3600万円を超える募金をいただいた。大漁することが恩返し」
と感謝をことばに表した。 露木会長は「この1年間苦労あったが大槌湾内を走る瀬谷丸の姿を見て吹き飛んだ。世界で一つの船、この船で頑張っていただきたい」とあいさつした。
碇川町長は「瀬谷区の皆さんの善意が形になった」と万感込めて喜びを表現した。ひょっこりひょうたん島のモデルとされる蓬莱島があることから歌詞の一部を引用し「苦しいこともあるだろさ、悲しいこともあるだろさ、だけどぼくらはくじけない、笑っちゃおう、進めの精神で一日も早い復旧・復興を図っていきたい」とあいさつした。
船上からの餅まきの後、瀬谷から興魂太鼓、大槌からは伝統の虎舞が披露された。
瀬谷丸乗組員の1人荻野光二さん(58)は「大変うれしいです。(瀬谷丸での)9月からの秋サケ漁で魚がいっぱい入ればいいんだけど」と素直な気持ちを吐露した。
瀬谷丸の勇姿を見ながら涙を拭う姿が印象的だった瀬谷からの参加者で竹村町在住の原彰雄さん(66)は「(大槌の方に)喜んでいただいた。露木(会長)さんが苦労されていたけど形に出来たことはよかった。子どもたちの募金活動も見てきた。募金しても先が見えないことが多い中で…」と話してくれた。
英会話講師(三ツ境)でカナダ出身のアロン・ドブレスキュさん(38)は「すごい、すばらしかった。鳥肌が立つ思いだった」とバスツアーでの参加を振り返って流ちょうな日本語で感想を話した。
建造費約1億7千万円のうち約3600万円を募金で賄った全長24・8m、19tの定置漁船「瀬谷丸」は、秋からのサケ漁で瀬谷区民の期待を背負って本格操業するという。
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