小学校所蔵民俗文化財 26年ぶりに本格調査 教材として活用へ
横浜市歴史博物館(都筑区)が中心となり、市内18区の小学校に所蔵する民俗文化財の調査、再生事業が進んでいる。本格的な調査は1988年以来。校内に長く眠っていた『地域のお宝』を整備し、授業の一環として利活用したい考えで、2月のフォーラムで今年度の活動成果を周知、報告する。
市内には342校の小学校があり、このうち、76校が文化財を展示、保管するための歴史資料室を備えている。保管する文化財は民具や農具が中心で、そのほとんどが近隣住民などから寄せられたもの。学校アンケートによると、「管理者がいない」「文化財をどう扱ってよいか分からない」など、管理者不在の理由から積極的な活用に至っていない状況が多く見られた。
そこで、今年度、文化庁の助成を受け立ち上げたのが同博物館や学校関係者、地域団体などで組織する博物館デビュー支援事業実行委員会(鈴木靖民会長)。88年以来手つかずだった校内に所蔵する資料調査に本格的に着手した。
同委員会メンバーの慶徳正好さんと柏木政利さんは「全国トップレベルの学校数を持つ横浜市で資料室が整備されてないことに危機感を抱いた。子どもたちが昔の人たちの暮らしぶりを知るには映像だけでなく直接触れることが大切」と声を揃える。
資料室も整備
将来的なモデルケースとして生まれ変わった資料室も誕生した。市立大道小(金沢区)では、地域住民と学校が連携し、博物館体験ができるほどの資料室が完成した。今後も両者で管理を行い、ここを拠点とした交流の場になることが期待されている。同委員会では、今年度50校を目標に事業を進めているが「学校数からして1年では厳しいのでボランティアを増やすなどして効果的に取り組んでいきたい」と話し、3〜5カ年程度の中で市内全域での整備活動に力を入れたい意向だ。
2月2日(日)には同博物館でフォーラム(14〜16時・要申込【電話】912・7771)を実施。資料室を作りたいと考える学校関係者のほか、一般参加も交え、活動の事例紹介や将来的なビジョンを報告し、潜在ニーズの掘り起こしを図る。
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