2年前に米軍から返還された旧上瀬谷通信施設の地下で、半世紀にわたり作り続けられてきた名産品「ウド」。返還に伴い地下室での栽培が今年6月に出来なくなることを受け、生産農家らが進めてきたハウスでの試験栽培の結果がこのほど発表された。食感や甘みは地下のものと大きな差はなく、来シーズンに向けた成果となった。
ハウス栽培は、地下室と同じ環境を再現しようという試み。ハウス内に、遮光資材で覆った「トンネル」を作り、そのなかでウドを育てる。さらに、温度調整用の電熱線と灌水用チューブを地中に設置する。2軒の生産農家が今年2月から4月にかけて、根株を伏せこみ育てた。
試験結果は関係者が見守るなか、6月29日にJA瀬谷支店で発表された。県の専門部署の分析によると、硬さを示す「破断応力」は、地下室で作られたものと遜色ない数値で、「食感は維持される」という分析だった。また、味に関わる糖含有量も大きな差は無く、「食味的には十分に販売できる」とした。一方、トンネル内は温度の変動幅が大きく、主茎の長さに影響があるとされた。
生産者らは結果について手ごたえを感じながらも、「地下室のウドに近づける努力が必要だ」とコメント。高温対策については、ハウスに遮光資材を導入することや、外気温が高くなる前に伏せこむなどのアイデアが出ていた。
半世紀の歴史
瀬谷のウドは、市が定める「横浜ブランド農産物」に認定されている。地下で1968年から作られており、シャキッとした食感と透き通るような白さが特徴だ。ファンも多く、毎年3月頃の収穫時期には注文が集中するという。
2015年6月に旧上瀬谷通信施設が国に返還された後は、2年間の地下栽培が認められていた。暫定利用期間の終了に向けて、関係者らは新しい手法を模索していた。
ウドを手掛ける「瀬谷㊤(まるじょう)組合」には13軒が加盟している。今シーズンは約8軒が栽培・出荷した。生産農家は今後、横浜市の助成制度を活用したハウス導入や、昔ながらの手法である「土伏せ」での栽培などを検討していくという。
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