特別養護老人ホームと学校教育連携 老学連携シリーズ【10】 高齢者とのかかわりを通して学ぶ 〜そこから生まれる可能性に期待すること横浜市立緑園西小学校 校長 桃井陽子
子どもたちは、この「まち」をふるさととし、10年後、20年後、大人になり、社会の担い手となる一人ひとりです。小学校6年間という、どんなことにも関心をもち瞳を輝かせ、素直にありのままを吸収していくこの時代に、できるだけたくさんの「ひと」や「もの」「ことがら」と出会い、そこから学び、自分の考えをもち深めていくことは、とても重要なことであると考えます。
たとえば今年度、3年生が施設長の志澤様のご厚意により「睦愛園」と交流をさせていただいています。「自分たちが調べた「まち」のことを、老人ホームのお年寄りの方たちに発表したい」という思いから始まった交流でした。初めは伝えたいことを伝えることで精一杯だったのではと思いますが、その時の高齢者の方々の満足されたお顔を見た子どもたちは、次の交流の計画を立てる中で「もっとお年寄りに楽しんでもらえるようにしたい」という相手意識や目的意識をもったかかわりに変容していることが、子どもたちの様子や感想から分かります。
緑園西小学校の学校教育目標に、「思いやりのある心豊かな子を育てます(徳)」「まちや自然を愛し、社会につくす子を育てます(公)(開)」があります。この睦愛園との交流は「まち」の高齢者とのかかわりから、人とのつながりの温かさを感じられるようにするという活動のねらいをもつとともに、学校教育目標を具現化する取組と言えます。
さらに視野を広げると、この交流が子どもを通して保護者に伝わり、保護者(大人)の関心を寄せていくことにもつながり、違った形のかかわりに結びつくかもしれません。絆やつながりが尚一層求められる今、あらゆる可能性をもった子どもたちが「まち」の福祉を考える主体であり、発信者であることを認識し、そのことを大切にしたいと思います。
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