廃食油の再生で大賞 上飯田のアイエーコーポ
「かながわ産業Navi大賞2013」の受賞者がこのほど決まり、環境(エコ)部門で上飯田町のアイエーコーポレーション(朝比奈巌社長)が大賞を受賞した。
同賞は県内中小企業の継続的な発展とビジネスチャンス創出を目的に、県経営者福祉事業財団が10年から実施しているもので、今年で4回目。同社は使い終わった天ぷら油などの廃食油を燃料として使用する「バイオUSS―OIL」の製造・販売事業が評価され、3度目の挑戦で大賞を手にした。
「受賞することで世間の人に知ってもらえる。それが一番大事」と朝比奈社長は穏やかな笑顔で熱く語る。その様子に、9年前からバイオ燃料に取り組み、実証を重ねてきた同社の道のりを感じさせた。
バイオUSS―OILは、回収した廃食油と灯油を半分の割合で装置に取り込み、循環ろ過と超音波によって融合させることで精製される。重油や灯油などの代替燃料として使うことができ、従来の化石燃料と比べCO2を50〜70%削減できる点が特徴で、灯油よりも安く、経済的にも優れているという。
「台所油田」の活用
年間使用量227万トンとされる食用油のうち、約3分の1にあたる71万トンが廃食油として工場や飲食店から出てくる。大半が廃棄されてしまうが、朝比奈社長はこれを「台所油田」と呼び、注目してきた。
元々、灯油の配送業を行っていた朝比奈社長は、世間がエコに関心を抱き始めた時期に、自らの仕事で何かできないかと考え同事業に行き着いた。天ぷら油でバスを走らせている人がいると聞くと京都へ行き、その後も北海道で研究開発に取り組むなど、数年間は試行錯誤を繰り返した。
「経済の中で回らないと意味がない。これまでやってきたノウハウが財産」と話す朝比奈社長。現在は各家庭や飲食店、小学校等で廃食油の定期的な回収を行っており、地域のイベントにも積極的に足を運んでいる。「市民からもらったものは、ちゃんと市民に還元していかないと」。廃食油回収の取組みがより広まっていくことを願い、今後も活動を続けていく。
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