横浜市は11月15日、2013年度市指定文化財に下飯田の廻り地蔵や中区の旧日本綿花横浜支店事務所棟など4件を、市登録地域文化財に金沢区の伝畠山重保墓を決定した。
「子育て地蔵」と呼ばれる背負い式の同地蔵は高さ92cm×幅50cm×奥行き40cm。堂内には赤ん坊を左手に抱いて蓮華台に座った高さ18cmほどの木像の地蔵尊が安置されている。
「いずみ いまむかし(泉区小史)」(1996年)によると、同地蔵は旧来からの住民組織を基礎に、家々を鎖状に結んで送られ、2〜3晩を宿として各家で供養されてきた。
各家では子の授かりや健やかな成長などについて書いた半紙に賽銭を包んだり、地蔵に帽子やよだれかけをかけたり、前面の網に子どもの名前入りの人形をくくり付けたりして、子どもの健康を祈っている。
これらすべてが女性により担われ、運営されているのが大きな特色で、都市化地域における注目すべき民俗文化財として評価された。鶴見川流域で3カ所残る廻り地蔵とともに、同地蔵が現在も伝承されているのも特徴といえる。
相模から武蔵ではかつて、地蔵を順次送って祀る廻り地蔵が伝承され、区内には和泉町地域でかつて続き、現在は宝心寺にある和泉廻化(かいか)地蔵もその一つだ。
200年前からの伝統
同地蔵の保存団体「下飯田廻り地蔵講」の大川千鶴子代表によると、核家族化などで子どもの数が減っているが、200年前から続く伝統で、それなりの存在感があるため「来れば当たり前のように飾る」習慣があるという。
今回の指定・登録で市指定文化財は153件、登録地域文化財は92件に。区内には市指定有形文化財として宝心寺の岩船地蔵像(石造建造物)と御霊神社の石造庚申塔(石造建造物)が、市有形文化財として本興寺の絹本著色法華宝塔曼荼羅(けんぽんちゃくしょくほっけほうとうまんだら)(絵画)と向導寺(横浜市歴史博物館)の木造阿弥陀如来坐像(彫刻)がある。
市登録地域有形文化財は美濃口春鴻(しゅんこう)関係資料一括(歴史資料)、市登録地域史跡名勝天然記念物は泉小次郎伝承地(史跡)と中田寺の石巻康敬の墓(史跡)、市登録地域有形民俗文化財は神明社の蚕御霊神塔(有形民俗)がある。
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