深谷通信所返還(下) 利用延長を切望する声 野球場の利用者ら
6月30日に返還された米軍施設、深谷通信所は直径約1Km、面積約77ヘクタールと広大で、跡地利用に区民らの期待が集まる。一方、施設内では長年にわたり野球場や農園として利用してきた人たちがいる。
敷地の一部を野球場や農園などに利用したのは横浜旭ベースボールクラブが1969年、米軍側にグラウンドの使用を許可されたのが始まり。当時は週末に同クラブが、平日は米軍の兵士が使った。兵士の家族が同クラブに所属するなど、野球やソフトボールによる日米親善交流が盛んだった。
同施設は次第に地域住民へと開放され、ゲートボール団体や農園の利用者が増えた。利用者は個別に米軍と契約し、敷地を無料で利用する代わりに雑草の刈込などを続けている。同通信所の無人化に伴い、10年には施設利用団体による連絡協議会が発足した。
当初2面だった野球グラウンドは13面となり、現在小中学生の14チームが使う。ゲートボール愛好会とグラウンドゴルフ同好会を合わせると計23チーム、780人がスポーツを楽しむ。
野球場や農園は6月末の返還で利用できなくなる予定が、公表から返還までの期間が短いため来年3月まで延長された。4月以降は返還財産管理者の防衛省南関東防衛局が土壌汚染調査や地下埋設物調査を実施するため利用できなくなる。
区内や近隣には千葉県まで練習に出向く野球チームがあり、グラウンドを無料で使える施設内のチームは「恵まれた環境」だったが、一転、チーム解体の危機に直面しているところがある。3月までの利用は認められたが、代替地を確保するのは極めて困難といえる。
利用者連絡会の森勝男会長代行や野球チームの関係者は「現状を更地にして新たな公園を作るときにまた税金を使う。それまで何年かかるのか。現状でも調査、資産の算定はできるはず。更地にして計画が決まるまでの5〜10年間は貸してほしい」と、利用延長を切望している。
跡地利用について、市は06年に策定した指針のテーマ「自然・スポーツ・文化の円形緑陰空間」や防災拠点機能の形成を行うものとみられる。市は泉区深谷通信所返還対策協議会の計画案や戸塚区民の意見などを考慮し、今年度末までの跡地利用基本計画の策定を目指している。
(了)
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