和泉町の自宅を拠点に、旧戸塚区(泉、栄、戸塚)の3区にまたがって発行する地域情報紙「えらん・よこはま」。発行者は常井(とこい)正憲さん。取材から原稿執筆、校正までをたった一人で行う、75歳の現役記者だ。
常井さんは大学卒業後に川崎市役所や商社へ勤めるも、1年足らずで退職。「若いうちに世界をこの目で見て経験したかった」と、ブラジル移民に便乗して渡米。欧米諸国などをカメラ片手に1年半近く放浪の旅を続けた。帰国後に業界紙数社を7年近く勤めた経験を生かし、1977年に「えらん・よこはま」を創刊。「えらん」は哲学用語で「羽ばたく」「飛躍する」などの意味が込められている。「話し下手だから文字の方が伝わりやすかった。いろいろなことを経験して30代になり、背水の陣で始めた」と当時を振り返る。
各区のニュースやイベント情報に合わせ、社説や随筆、郷土史などを月に1度、12頁で作成。最初の数年間は市内全域をカバーしていたが、住居のある泉区中心の紙面へ徐々にシフトし、10月号で496号を数える。紙面は新聞倫理綱領に基づき、「行政と住民とを繋ぐ媒体機能を有するよう心掛けている」と話す。
原稿や写真の扱い方も時代の流れとともに変化していった。ワープロやパソコンなど、同世代が苦戦して挫折していったインターネットも、「覚えないと発行できないので必死だった」
来年1月には創刊500号の節目を迎える。「困難を乗り越えてきた『粘り』でこれまで続けてきた。壁にぶつかっても自ずと道が拓けるという信念で取り組んでいきたい」と力強く話した。
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